ファクタリングの支払いは破産すれば逃れられる?
近年、経済産業省が売掛金を活用した資金調達を推奨していることも影響し、ファクタリングの知名度や需要が高まっています。
しかし、ファクタリングはメリットばかりではありません。
むしろ、コスト(手数料)だけを鑑みれば非常にデメリットが多く、リスクが非常に高い資金調達手段であるといえます。
また、ネットの広告やファクタリング会社のホームページではファクタリングのメリットばかりを前面に押し出していますが、実際にはファクタリングの返済が困難となり、苦しんでいる事業者が山のように存在しているのです。
ですが、そのような状況に陥っても打開策がないわけではありません。
その一つに自己破産という手段が存在します。
自己破産を行うことにより自身が持つ債権への返済義務がなくすことが出来ます。
しかし自己破産はそう簡単にすることはできないですし、信用情報にその履歴は残るので、新たに借入などを行うことが出来なくなってしまいます。
そのため破産するにもどのような状況ならするべきなのか否か判断が必要です。
判断基準をご紹介していきます。
自己破産を行うべきか
どのような場合に自己破産の申立てを行うべきか否か徹底的に解説を行います。
分かりやすく、時系列で順番に記載を行わせていただきます。
1. 資金繰り改善
まずファクタリングの利用でむしろ資金繰りが悪化した場合に考えるべきは、ファクタリング会社への支払いを停止し(その際、当事務所よりファクタリング会社と交渉を行うことも無論ございます。)まずは資金繰りの改善を図ることだと思います。
その後再建が可能であれば自己破産の申立てを行う必要はありません。
2. 債権譲渡通知の発出を止める
ファクタリング会社との交渉如何によっては債権譲渡通知の発出を行わないことを前提にファクタリング会社と和解を行うこともございます(当事務所でもそのような実績は多数ございます。)。
ですので、ファクタリング会社への支払いを停止し、債権譲渡通知の発出をファクタリング会社に止めさせることができれば、あとは本業に注力することで、自己破産を回避することができます。
3. 債権譲渡通知の発出がされてしまった場合
また、ファクタリング会社との交渉が決裂し、残念ながら債権譲渡通知の発出が行われ、売掛先に債権譲渡通知の発出が行われた場合も諦めるのは早い状況です。
当該ファクタリング会社との契約内容次第では、ファクタリング契約が公序良俗に反し違法無効な可能性も否定できないからです。
そのような状況を売掛先様に説明を行い、売掛金を支払っていただければ、当面の事業継続は可能な状況になるはずです。
4. 売掛先がファクタリング会社に売掛金を払うと言っている場合
売掛先がファクタリング会社に売掛金を支払うと言っている場合であっても諦めるのはまだ早いです。
弁護士が交渉を行ったり事情を説明するなどして、売掛先の対応が変化するということもよくある話でございます。
5. 売掛先が契約解除すると言ってきた場合
このようなケースでは、売上を立てることができず、債務超過の状態であれば、破産を検討することになろうかと思います。
基本的にファクタリング案件での法人・個人の自己破産を申し立てるケースではこのようなケースが非常に多いのが特徴的です。
売掛先から残念ながら契約を解除され今後の売掛金の入金の目処が立たない場合には自己破産の申立てを行い、一度債権債務関係をきれいにするということも選択肢の1つだと思います。
破産をした場合にファクタリング業者からの激しい取り立てが止まるのか?
そして、破産を行った場合、ほとんどのファクタリング会社は、事業者に対する取り立て等を中止します。
ファクタリング会社も、そんな破産した会社から取り立てを行おうとするケースはほとんどありません。
破産を行うということは、資金力がないということであり、ファクタリング業者も資金力がないところに取り立てに行っても無駄骨になることが多いことから、それは諦め、次の取引先を探しに出かけてしまうのです。
そのため、ファクタリング会社への返済が困難となり、「返済や取り立てを免れたい」という場合には、破産は非常に有効な手段となります。
破産以外にもファクタリング業者からの取り立てが止まる方法はないか?
しかし、破産だってメリットばかりではありません。
「資産を失う」「ブラックリストに載る」「官報に掲載される」などといった、複数のデメリットもあります。
破産以外にもファクタリング業者からの取り立てが止まる方法はないのでしょうか?
破産に類似する方法として、私的整理・会社整理・債務整理・任意整理というものもあります。
これらは、裁判所における破産手続きまではしないものの、弁護士が介入して、事業者の債務を整理することを言います。
私的整理・会社整理・債務整理・任意整理をする事業者であれば、資金力がないということであり、ファクタリング業者も資金力がないところに取り立てに行っても無駄骨になることが多いことから、それは諦め、次の取引先を探しに出かけてしまうのです。
要するに、ファクタリング会社からの激しい取り立てを回避するために、破産まで行う必要はないということです。
さらに言うなら、弁護士が介入して、ファクタリング会社との間でのみ、ファクタリング会社の債務のみを整理することも選択肢としては存在しており、そのような場合もファクタリング会社としては、もう取り立てに来ないことも多くなります。
ファクタリング会社には悪徳業者が紛れている?
2017年5月「ファクタリング業者が逮捕!」のニュースが全国を駆け巡りました。
ファクタリングは違法なのか?という懸念が一時広まりましたが、事件の内容を確認してみますと、摘発された悪徳業者はファクタリング会社を装い金銭を貸付け、法定金利の50倍もの金利を搾取していたというものでした。
つまり、ファクタリングに見せかけた金銭消費貸借契約を締結したことによる貸金業法違反及び出資法違反が容疑であり、ファクタリング取引が違法という訳ではありません。
資金調達の方法としてファクタリングを検討している方の中には、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、残念ながらファクタリングを隠れ蓑にした悪徳業者は存在します。
そのほとんどは、ファクタリングを装って、実際には「融資」を行うヤミ金業者です。
ファクタリング契約したい利用者を騙して、高金利でお金を貸し付ける手法を取っています。言うならば、ヤミ金業者や詐欺業者の犯罪の温床としてファクタリングが利用されている形です。
しかし、真っ当なファクタリング会社を選ぶことができれば、こうした犯罪に巻き込まれることはありません。
ファクタリングの悪徳業者には2種類ある
ファクタリングの悪徳業者には、2つの種類があります。
1つ目は「ファクタリングを装って融資を行う違法業者(偽装ファクタリング)」、そして2つ目は「手数料が著しく高いなどの悪質なファクタリング会社」です。
それぞれの特徴や手口について解説します。
ファクタリングを装った融資を行う違法業者(偽装ファクタリング)
ファクタリングを悪用した詐欺事件が大々的に報道されると、
「ファクタリング業者の中には悪徳業者がいるのか…」
と心配になる方も多いかもしれません。
しかし、こうした詐欺事件のほとんどは、ファクタリングを装った「偽装ファクタリング」を実施している違法業者です。
「偽装ファクタリング」とは、2者間ファクタリングを装って利用者を勧誘し、実質的には「貸し付け(融資)」を行う行為をいいます。
例えば2019年には、ファクタリング業者を装い高利でお金を貸し付けたとして、東京都のコンサルティング会社社長らが逮捕されました。
ファクタリングとは売掛金を買い取って資金化するものですが、この企業は「実際は売掛金を買い取らず、売掛金を担保にしてお金を融資」していました。
逮捕された理由としては、「貸金業法違反(業者が無登録で貸金業を営業したから)」と「出資法違反(法律で定められた上限金利を超えた超高金利で貸し付けを行っていたから)」です。
参考:朝日新聞「債権の買い取り装いヤミ金営業容疑 社長ら11人逮捕へ」
偽装ファクタリングを行う悪徳業者のほとんどは、実質的な融資を行っておきながら「貸金業登録」をしていない「ヤミ金業者」です。
こうした悪徳業者に騙されてはいけません。
悪い条件を提示する悪質なファクタリング業者
前述した通り、報道される悪徳業者は「そもそもファクタリング業者ではない」ことがほとんどです。
しかし残念ながら、ファクタリング業者の中にも悪質な業者が紛れている可能性はあります。
昨今、ファクタリングを活用した資金調達の方法が認知され始め、新たにファクタリング業を始める企業が増えてきています。
しかし、ファクタリング業を始める上での国や地方公共団体の許認可は必要ないため、営業所や電話回線が無くても開業できてしまうのがファクタリング業なのです。
金融庁や裁判所の事業者ファクタリングに関する見解は明快にはなっていない!
ただ、事業者向けファクタリングについて、金融庁や裁判所は態度を明確にしていません。
裁判所は裁判ごとに妥当な解決を図るべく、いろいろな要件をたてつつ、適切そうな和解を図っているように見えます。
やはり、判決を出してしまうと、サラ金の過払い金訴訟に関する記憶がまだある中で、世間に対するインパクトが大きすぎると思っているのかもしれません。
この点、当事務所においては、ファクタリングに関する裁判を多く経験しており、その中で、実際、裁判所が、ファクタリングについても、消費者金融と同様の過払い金と同じように考え、バランスをとって、実質的に解決することが多くなっていますので、裁判所は、態度を明確にしていないものの、ファクタリングの過払い金問題を、実質的に解決しようとする姿勢なのだと思われますので、悲観する必要はありません。
すなわち、裁判所としては、実質的に、過払い金が存在するものと観念し、ファクタリング会社に対して返済すべき借入金を、その過払い金と相殺することによって減額し、適切な解決を図るということを行っている状態です。
依頼は弁護士事務所へ行う
なお、一般的に「過払い金=司法書士が行うもの」というイメージがあります。ただ、偽装ファクタリングの過払い金についていえば、司法書士だと使い物にならないので利用してはいけません。
理由として、司法書士だと1社につき元金140万円を超える過払い金を取り扱うことができません。
ファクタリングの場合、個人事業主や法人経営者を含め企業間取引になります。そのため取引金額は高額になりやすく、中小零細企業がファクタリングする場合であってもすぐに元金140万円を超えるようになります。
そのため司法書士に依頼したとしても、そもそも利用することができません。
また、ファクタリングでは業者や取引先とやり取りを行い、場合によっては裁判を選択することもあります。そうなると、やはり弁護士でなければ対応できません。この点からも、ファクタリングでの過払い金請求を考える場合は弁護士に依頼する必要があるのです。
こうしたことを理解したうえで、ファクタリングでの過払い金事例をたくさん取り扱っている弁護士事務所へ相談するといいです。
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