介護報酬ファクタリングとは?仕組み・メリット・デメリットなどを図で徹底解説!1

介護報酬ファクタリングとは?仕組み・利用の流れ・メリット・デメリットなどを徹底解説!1 資金調達

介護報酬ファクタリング〜はじめに〜

介護報酬は介護サービス事業者にとって、経営状態を安定化させるために重要なものです。ただ、介護報酬の回収までには時間がかかるのが普通で、その間は手元の資金で経営を行う必要があります。困るのは急な支出が発生する場合で、手元の資金だけでは不足してしまうケースです。

資金調達には銀行融資やカードローンなどがありますが、いずれも審査に日数を要するのがネックです。また必ず借入できるとは限らないのも気になるところです。

今回はそんなキャッシュフローを改善するために介護報酬ファクタリングについて理解を深めてください。

また、診療報酬ファクタリング・医療ファクタリング・診察報酬ファクタリングなどもほとんど仕組みは同じです。

介護報酬ファクタリングとは

介護報酬ファクタリングとは

介護報酬ファクタリングとは、介護報酬の債権を買取によって現金化することを指します。端的にいえば、介護報酬債権を利用する資金調達方法です。####

介護報酬ファクタリングでは、国民健康保険団体連合会(国保連)から支払われる介護給付金を代わりに、ファクタリング会社から受け取る形となります。

通常、介護報酬の支払いには2~3ヶ月かかるといわれていますが、介護報酬ファクタリングを利用すると40日程度短縮できます。

これは介護サービス事業者に朗報ですし、かなり資金繰りが楽になります。借入とは異なるので審査のハードルは低く、申し込みから早く審査結果が出たり支払いが行われます。

介護報酬を扱うファクタリング会社の利用が前提ですが、資金調達方法として有力です。

通常のファクタリングについて詳しく知りたい方は「ファクタリングとは?」をクリック!

介護報酬ファクタリングの仕組み・簡単な流れ

介護報酬 仕組み 図

介護報酬ファクタリングの基本的な仕組みは、一般企業が利用する3社間ファクタリングに準じます。

具体的には介護サービス事業者ファクタリング会社、そして国民健康保険団体連合会の間で手続きを行います。

介護サービス事業者はまずファクタリング会社に申し込み、審査を経て介護報酬債権の債権を譲渡します。それから、介護サービス事業者が国民健康保険団体連合会(国保連)に介護報酬債権の譲渡を通知して、ファクタリング会社と契約という流れです。

ファクタリング会社は介護サービス事業者に対し、介護報酬債権の額面の70%〜90%を支払います。介護サービス事業者が国保連に介護給付費請求書と介護給付費明細書を送付すると、書類の精査と審査が行われます。

国保連による書類の確認が終わると、介護サービス事業者に審査結果通知書の審査支払結果帳票が送付されます。

審査支払結果帳票で通知される介護給付金は、この段階で介護サービス事業者ではなくファクタリング会社に支払われる形です。介護給付金を受け取ったファクタリング会社は、最初に介護サービス事業者に支払った前払い分を差し引いた差額を支払います。

これが介護報酬ファクタリングの流れで、介護サービス事業者にとって便利な資金調達方法となります。

介護報酬ファクタリングのメリット

介護報酬 メリット

①キャッシュフローが改善される

これは介護報酬ファクタリングの主なメリットです。

介護報酬は債権が発生してから介護給付金が支払われるまでに、2~3ヶ月ほどかかります。

この間に資金が不足するようなことがあると、キャッシュフローが悪化して介護サービス事業者の経営に支障が出ます。

介護給付金の支払いが早くなる介護報酬ファクタリングは、単純に入金が早くなるので、その分キャッシュフローが改善されることになります。

②早期の資金調達が可能

介護報酬ファクタリングは任意のタイミングで介護報酬債権を現金化できます。

これはつまり資金調達がしやすくなることを意味しますし、早期の資金調達も可能となります。

銀行融資は審査に時間を要することが多く、カードローンも決して早いとはいえないです。

しかし手元にある介護報酬債権の現金化であれば早ければ数日、遅くとも数週間で資金調達が実現します。#医療ファクタリングと は

c

③手数料が安価

介護報酬ファクタリングに要する手数料は、額面の1%未満、相場が最低0.25%からとかなりお得です。

一般的なファクタリングと比べて手数料が安いのは、介護報酬債権の信頼性が高く、回収不可能になるリスクが小さいのが理由です。

売掛先にあたるのが公的機関の国保連なので、ファクタリング会社は手数料を抑えられるわけです。

④担保や保証人が不要(貸付ではない)

これは返済の必要がなく、安心して利用できることを意味します。

担保や保証人が必要だと利用のハードルは高くなりますが、どちらも不要ではないので安心です。

そもそも介護報酬ファクタリングは貸付ではないので、返済もなければ担保も求められないわけです。

資金調達に必要なのは、有効な介護報酬債権のみと言っても過言ではないです。

実際には申し込み書類や商業登記簿謄本法人印鑑証明書に直近3期分の決算書支払い額決定通知書事業所の指定通知書などの書類が必要です。

事業所のパンフレットやホームページなどの情報も、ファクタリング会社から求められることがあります。

⑤審査がのハードルが低い

これも介護報酬ファクタリングの見逃せないメリットです。

手数料の安さだけでも十分に魅力的ですが、審査の通過率が限りなく100%に近いのもポイントです。

通過率99%以上というファクタリング会社は珍しくないので、介護報酬ファクタリングが資金調達方法として現実的で有力だと分かります。

審査のハードルが低いのは、利用者が介護サービス事業者で取引先は国保連、買取現金化の対象が介護報酬債権ということに他ならないです。

介護報酬ファクタリングのデメリット

介護報酬ファクタリング

①手数料と諸費用がかかる

介護報酬ファクタリングはその性質上、利用に手数料がかかります。

手数料は相場が0.25%からと低めですが、債権譲渡登記の契約時の内容証明、書留郵便代や振込手数料に印紙代といった諸費用も発生します。

1つ1つの金額は小さいですが、合計するとそれなりに負担となります。

とはいえ、銀行融資などでも金利以外に登記手数料や印紙代などがかかるので、そう考えると介護報酬ファクタリングだけが特別ではないです。

②介護報酬の満額を受け取ることができない

介護報酬ファクタリングは額面の100%を現金化するのは不可能です。

理由は手数料や諸費用が発生することもそうですが、介護サービス事業者が国保連に提出する介護給付費請求書と介護給付費明細書の満額が認められるとは限らないのも理由の1つです。

具体的な金額は国保連の審査で決まり、審査によって介護報酬の額が減ることは少なくないです。

介護報酬ファクタリングで現金化できるのは、額面の80%前後が一般的です。

そこから手数料と諸費用が差し引かれるので、実際に手元に残る額は小さくなります。

介護報酬の満額を受け取れないデメリットは大きいですが、早期に資金調達できるメリットも大きいので、そこが天秤にかけて利用を決めるポイントになりそうです。

介護報酬ファクタリングを提供する2タイプのファクタリング会社の違い

介護報酬ファクタリング

介護報酬ファクタリングを提供するファクタリング会社には、

  • 介護報酬専門ファクタリング会社
  • 介護報酬も扱う一般的なファクタリング会社

があります。

介護報酬専門ファクタリング会社

介護報酬専門ファクタリング会社は、文字通り介護報酬に特化していることから、手数料率が低くて入金までの日数が短いという特徴があります。

また1~2年の契約期間があること、早払い対象の報酬額が95%以下に収まることが多いのも特徴です。

入金までは5日~2週間というケースが多い傾向です。

契約期間は原則として2年、手数料は譲渡額の0.25~5.0%が目安となります。

介護報酬も扱う一般的なファクタリング会社

介護報酬も扱う一般的なファクタリング会社は、手数料の目安は2社間が8.0~20.0%3社間が1.0~9.0%で、2社間だと入金までの日数が最短で1日とスピーディーです。

基本的に契約期間はないので、単発で利用することもできます。

比較

  手数料 日数 契約期間 報酬額
介護報酬専門のファクタリング会社 0.25~5.0% 5日~2週間 1〜2年 75〜95%
一般的なファクタリング会社(2社間) 8.0~20.0% 最短即日 なし 70〜90%
一般的なファクタリング会社(3社間) 1.0~9.0% 5日~2週間 なし 80〜100%

報酬額は介護報酬専門ファクタリング会社が75~95%

介護報酬も扱う一般的なファクタリング会社が70~100%の範囲で、いずれも早払い対象の割合です。

このように、前者と後者には各項目に異なる点があって、例えば後者には期間の契約がなくて単発利用もできる違いがあることが分かります。

介護報酬ファクタリングの利用の流れ

介護報酬ファクタリング

介護報酬ファクタリングの利用の流れは、2社間と3社間で異なります。

2社間契約利用の流れ

ステップ1は、介護事業者とファクタリング会社の間で債権譲渡契約の締結です。
契約の締結には、申し込みと審査といった前提があります。

ステップ2はファクタリング会社による介護報酬の早払いです。
この段階で介護事業者は介護報酬が受け取れるので、通常よりも早く資金調達ができます。

ステップ3は介護事業者が国保連に対し、通常と同じく介護報酬の請求です。
請求してから介護報酬を受け取るのではなく、ファクタリング会社から介護報酬を受け取ってから国保連に請求する点が通常と異なります。

ステップ4は国保連から介護事業者に対する介護報酬の支払いです。
一旦介護事業者が通常通り介護報酬を受け取る形となります。

ステップ5では、国保連から介護報酬を受け取った介護事業者が、ファクタリング会社に対して支払いを行います。
ファクタリング会社は介護事業者経由で介護報酬を受け取ることになるので、介護事業者は約束通り期日までに支払うことが不可欠です。

2社間契約は文字通り、介護事業者とファクタリング会社の間で契約、取引が行われるので利用の流れがシンプルです。

3社間契約の利用の流れ

ステップ1は介護事業者とファクタリング会社の債権譲渡契約で、これは3社間契約と同様です。

ステップ2はファクタリング会社による、譲渡債権の額面に対する掛け目に乗じた金額の早払いです。掛け目は75~95%に収まることが大半です。
掛け目で早払いの金額が決まるのは、まだ国保連による介護報酬額が確定していないからです。

ステップ3は介護報酬債権の譲渡の通知で、国保連に対して行われます。
この通知によって、国保連は介護報酬債権が介護事業者からファクタリング会社に移ったことを把握します。

ステップ4は、介護事業者の国保連に対する介護報酬の請求です。
介護報酬は介護事業者が請求しないと支払われないので、この段階で請求が必要となります。

ステップ5は国保連によるファクタリング会社への介護報酬の支払いです。
2社間と違って介護事業者に対してではなく、国保連が介護報酬債権を把握している3社間では、直接ファクタリング会社に介護報酬が支払われます。

ステップ6は、ファクタリング会社から介護事業者に対する残額の支払いです。
介護報酬額は国保連に請求した後に確定するので、最終的に確定する額と早払い額に差が生じます。その差額の残額がこの段階で支払われることになります。

必要書類

主な必要書類の例を紹介します。

  • 1.登記簿謄本
  • 2.印鑑証明書
  • 3.決算書の写し又は、税務申告書の写し
  • 4.国保連介護報酬債権請求書の写し(最新3か月分)
  • 5.介護給付費支払決定通知書の写し

※利用するファクタリング会社によって必要書類は異なります。

介護報酬ファクタリングの会社選びのポイント

介護報酬 ファクタリング

介護報酬ファクタリングは、会社選びが大切だといえます。

手数料を抑えたり長期的に利用する予定であれば、介護報酬専門のファクタリング会社が狙い目です。

単発の利用なら、介護報酬も扱う一般的なファクタリング会社が適しています。

介護報酬ファクタリング会社選びは、問い合わせや申し込みのしやすさ、手数料や入金までの日数の比較がポイントになります。

手数料も入金までの日数も、介護報酬専門のファクタリング会社と、介護報酬も扱っている一般的なファクタリング会社で傾向が異なります。

しかしどちらも目安となる範囲がありますから、その範囲内でより好条件のファクタリング会社を選びたいところです。

手数料が安くても入金までの日数を要する、逆に入金がスピーディーでも手数料がやや高めなど、ファクタリング会社は様々です。

重要なのは何を重視するかで、比較検討の項目に優先順をつけて、上から順に比較して絞り込むのが理想的です。

候補が多いと選ぶのは難しいですから、段階的に候補を篩いに掛けて最終候補を比較して選ぶのが良いでしょう。

まずは介護報酬専門か介護報酬も扱うファクタリング会社を選び、それから候補をリストアップして絞り込むのがおすすめです。

介護報酬ファクタリングのよくある質問 〜Q&A〜

Q.介護報酬ファクタリングは銀行の融資と何が違いますか?
A.介護報酬ファクタリングは貸し付けではなく、債権の先払いなので返済や利息が必要ありません。安価な手数料で債権の約80%を早期に現金化することができます。
Q.介護報酬ファクタリングの申し込みにはどのような書類が必要ですか。
A.1.登記簿謄本2.印鑑証明書3.決算書の写し又は、税務申告書の写し4.国保連介護報酬債権請求書の写し(最新3か月分)5.介護給付費支払決定通知書の写しなどが主に必要になってく必要書類の例です。
Q.介護報酬ファクタリング 審査は厳しいですか?
A.請求先が国民健康保険団体連合会(国保連)になるので支払われないリスクが少ない為、審査は100%に近い通過率になっています。
Q.介護報酬ファクタリングの手数料は?
A.介護報酬ファクタリングの手数料は比較的安価に利用できます。ファクタリング会社にもよりますが1〜3%程度で利用できます。
Q.介護報酬ファクタリングの仕組みは?
A.3社間ファクタリングの場合、国保連に請求した介護報酬をファクタリング会社に早期に立て替えてもらうことができます。その後本来の支払日に国保連がファクタリング会社に介護報酬を支払います。

介護報酬ファクタリング〜まとめ〜

介護報酬ファクタリング

今回は介護報酬ファクタリングについて解説しましが、理解してもらえたでしょうか?

注意点としては一度、ファクタリングをおこなってしまうと次の入金までのインターバルが空いてしまうことです。その点をうまく配慮して上手に介護報酬ファクタリングを使いこなしてもらえたら幸いです。

また、診察報酬ファクタリング・医療報酬ファクタリングなども仕組みは同じです。

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記事執筆者
中島康彦 (なかじまやすひこ)

■ファクタリング実務・審査の専門家/金融ライター。
大手ファクタリング会社にて2者間・3者間・医療ファクタリングの組成・審査・導入支援を5年間担当。与信設計、債権譲渡禁止特約への実務対応、反社・不当条項チェック、請求書真正性の検証、適正手数料レンジの見立てなど、現場で培った知見をもとに、安全性・適法性・スピードのバランスを取った資金化支援を行ってきました。
現在は金融ライターとして**「ファクタリングナビ」で一次情報に基づく解説・検証記事を執筆。建設・運送・医療・ITを中心に、即日資金化の実務から資金繰り改善の中長期設計まで、経営者が意思決定に使えるコンテンツを目指しています。最新の制度・ガイドライン・判例等**を参照し、誤情報の排除と透明性を重視します。

■実績・取り組み
ファクタリング実務 5年(2者間/3者間/医療)
審査・与信・契約レビュー:数百件規模の案件に関与
手数料の妥当性評価・不当条項チェックの社内指針作成に参画
業界別(建設/運送/医療/IT)での導入支援経験
一次情報重視:制度・法改正の追随/誤情報の是正

■監修・寄稿・登壇
監修:ファクタリングの基礎・実務に関する記事多数
寄稿:中小企業向けメディア/資金調達メディア
登壇:資金繰りウェビナー

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