ノンバンク系ファクタリングとは？中小企業・フリーランス向け徹底解説

1. ノンバンク系ファクタリングとは？

ファクタリングの基本概念

ファクタリングとは、企業や事業者が持つ売掛金（未回収の請求書）をファクタリング会社に買い取ってもらい、期日より前に現金化する資金調達サービスです。売掛金の一定割合が手数料として差し引かれますが、支払いサイト（入金までの期間）を待たずに早期に資金を得られる点が特徴です。融資とは異なり負債ではなく、売掛債権の売買契約となるため、担保や保証人は不要であり、借入記録が信用情報機関に残ることもありません。近年、中小企業庁も売掛債権ファイナンスの活用を積極的に促進しており、公的にも注目されている資金調達手段です。

銀行系ファクタリングとの違い

ファクタリング会社は主に「銀行系」「ノンバンク系」「独立系」の3種類に分類されます。銀行系ファクタリングは、都市銀行や地方銀行、その子会社など銀行グループが提供するサービスで、信頼性が高く手数料が低め（一般的に5%未満が多い）と言われます。一方で審査が厳格で手続きに時間がかかりやすく、契約形態は主に売掛先も交える3社間ファクタリングに限られる傾向があります。銀行系は資金化までに1〜3週間程度要するケースが多く、取引先との調整が必要な点が中小企業にとって利用ハードルとなる場合があります。

これに対し、ノンバンク系ファクタリングは、銀行ではない貸金業者（消費者金融会社、信販会社、クレジットカード会社、リース会社等）が提供するサービスです。銀行のように預金業務を持たないものの、金融業のノウハウを活かしているため、銀行系ほど厳しい審査基準に縛られることなく、利用できる可能性が広がります。契約形態は主に3社間ファクタリングとなり、売掛先への通知や承諾が必要ですが、大手企業グループによる運営であるため、信頼性・安心感は高いのが特徴です。

最後に、独立系ファクタリングは、銀行やノンバンクに属さない独立資本のファクタリング会社によるサービスです。中小の専門業者やFintechベンチャーなどが該当し、審査が非常に柔軟で、小口債権や個人事業主案件にも対応しやすいという点で注目されています。2社間ファクタリング（利用者とファクタリング会社の契約のみ）が中心で、最短即日など資金化スピードは非常に速い反面、手数料は高めに設定される傾向があります。また、法規制が未整備な面もあるため、信頼できる業者選びが重要となります。

まとめると、ノンバンク系ファクタリングは銀行系と独立系の中間的な位置づけとなります。銀行ほど利用ハードルは高くなく、比較的スムーズに資金調達できる一方、独立系ほどの迅速・小口対応ではないという特徴があります。以下では、具体的なメリット・デメリットを詳しく解説します。

2. ノンバンク系ファクタリングのメリット

ノンバンク系ファクタリングは、中小企業やフリーランスにとって利用しやすい資金調達手段として注目されています。主なメリットは以下の通りです。

• 審査の柔軟性が高い（銀行より通りやすい）
  
  銀行融資のように財務状況や業歴のみで判断されるのではなく、売掛先の信用力を重視した審査が行われるため、赤字決算や債務超過の場合でも、売掛先企業に信用力があれば資金化できる可能性があります。必要書類も銀行融資ほど多くなく、オンライン完結で申込できるサービスもあるため、手続きが簡便です。

• 資金調達までのスピードが速い
  
  ノンバンク系は銀行ほど審査や承認プロセスに時間を要さないため、資金化までの所要期間が短いのが魅力です。銀行系では資金化まで2～3週間かかる場合が一般的ですが、ノンバンク系であれば最短即日から数日～1週間程度で入金されるケースもあります。急な資金ニーズに迅速に対応できる点は大きな利点です。

• 保証人・担保が不要
  
  ファクタリングは売掛金の売却による資金調達であり、借入ではないため、代表者の個人保証や不動産担保を求められることがありません。また、契約内容によっては、売掛先が倒産しても利用企業が返済義務を負わない「ノンリコース」となる場合もあり、リスクを限定的にできる点が評価されています。

• 売掛金の早期資金化でキャッシュフローを改善
  
  本来の入金日より前に現金を得られるため、急な支払いにも対応できるほか、仕入代金や人件費など、事業継続に必要な運転資金の確保が可能です。特に掛取引の多い業種や、取引先からの入金サイトが長い場合に有効で、キャッシュフローの改善が期待できます。

また、大手企業グループが運営するノンバンク系ファクタリング会社の場合、信用力が高く安心感もあるため、比較的大口の取引にも対応しやすいという点も魅力です。

3. デメリット・注意点

便利なノンバンク系ファクタリングにも以下のような注意点があります。

• 手数料が銀行系より高めになりがち
  
  資金調達コストの面では、銀行系に比べて手数料が割高になるケースが多いです。特に、2社間ファクタリングの場合、手数料率が高く設定される傾向があります。契約前に、買取手数料や事務手数料などの体系を十分に確認する必要があります。

• 2社間取引や小口取引に対応していない場合がある
  
  多くのノンバンク系ファクタリング会社は3社間ファクタリングを採用しており、売掛先の承諾が前提となるため、「取引先に知られずに資金調達したい」というニーズには応えにくい場合があります。売掛先への通知なく現金化したい場合は、対応可能なサービスを提供している会社を選ぶ必要があります。

• 信頼できる業者の選定が重要
  
  ファクタリング業界は参入障壁が低く、法規制が十分でないため、悪質な業者が混在している恐れがあります。利用する際は、貸金業登録の有無や業界団体への加盟状況、口コミ評判などをチェックし、信頼性の高い業者を選ぶことが大切です。

• 違法業者・悪質業者に注意
  
  法外に高い手数料を取り、実質的に高利貸付を行う「偽装ファクタリング」などの悪質な業者が存在するため、契約内容が適正な債権譲渡契約となっているか、不明瞭な再契約がないかなど、十分に確認する必要があります。

4. 主要なノンバンク系ファクタリングサービス比較

ここでは、代表的なノンバンク系ファクタリングサービスを、手数料や入金スピード、利用条件などの観点で比較します。

※上記は代表的な例です。各社の手数料や契約条件は変動するため、利用前に最新情報の確認をおすすめします。

5. ノンバンク系ファクタリングの活用事例

中小企業のケース

ある製造業の下請け企業（従業員20名規模）では、取引先からの支払いサイトが60日と長く、仕入れ支払いや人件費の支払いタイミングとのギャップに悩んでいました。銀行融資が難しかったため、ノンバンク系ファクタリング会社に相談。取引先発行の売掛債権￥1,000万円をファクタリングで現金化することで、契約から5営業日後には約950万円（手数料控除後）の資金調達に成功。これにより、仕入先への支払いに遅れが出ることなく、新規受注に向けた原材料調達も前倒しで実施でき、生産スケジュールに余裕が生まれました。

フリーランス・個人事業主のケース

Webデザイナーとして活動するフリーランスのBさんは、月末締め翌々月末払いの取引慣行のため、納品から入金まで最大90日待たされる状況でした。急な生活費や事業経費の支払いに迫られる中、オンライン完結型のノンバンク系ファクタリングサービスを利用。請求書額面50万円を即日現金化してもらい、翌日には約45万円が入金され、クレジットカードの支払いにも間に合わせることができました。初回利用ということで手数料はやや高めでしたが、資金繰り改善に大きく寄与した事例です。

6. まとめ

ノンバンク系ファクタリングは、銀行融資にはないスピードと柔軟性で中小企業やフリーランスの資金繰りをサポートする手段です。審査基準が比較的緩く、売掛先の信用さえあれば赤字でも資金化が可能なため、銀行からの借入が難しい企業にとって有力な選択肢となります。また、借入ではなく売掛金の早期回収という形態上、財務上の負担が少ない点も魅力です。一方、手数料が高くなる場合や、取引先への通知が必要な点、業者選定の重要性など、注意すべき点もあります。利用を検討する際は、メリットとデメリットを十分に理解し、自社の状況に合わせた最適なサービス選びを行いましょう。健全なファクタリングの活用で、キャッシュフロー改善と事業の成長につなげてください。

参考リンク

• 日本ファクタリング業協会
• オリックスファクタリング
• アイフルビジネスファイナンス
• NTTファイナンス
• SMBCファイナンス&リース
• 三菱UFJファクシミリリース