ファクタリングのデメリット徹底解説！メリットや他の資金調達手段との比較も紹介

ファクタリングは売掛金を現金化できる便利な資金調達方法ですが、一方で注意すべきデメリットも存在します。

本記事ではファクタリングのデメリットに焦点を当て、基本的な仕組みやメリットとの比較、さらに他の資金調達手段との比較や実際の成功・失敗事例、安全に利用するポイントまで詳しく解説します。

特に

• 「手数料が高い」
• 「審査が厳しい」
• 「売掛先に知られる」

といったキーワードに着目し、ファクタリング利用時のリスクと対策を網羅しました。

ファクタリングを賢く活用し、資金繰り改善に役立てるための参考にしてください。

1. ファクタリングとは？基本的な仕組み

ファクタリングとは、企業が保有する売掛金（未回収の請求書債権）をファクタリング会社に売却し、早期に現金化する資金調達サービスです。

通常、商品やサービスを提供した企業（利用者）は、取引先（売掛先）からの支払い期日を待たずに、ファクタリング会社にその売掛債権を買い取ってもらいます。

ファクタリング会社は売掛債権をディスカウントした金額（手数料を差し引いた金額）を利用者に即座に支払い、後日ファクタリング会社が売掛先から満額を回収します。

これにより、利用者は資金繰りを早期に改善でき、売掛先からの入金を待たずに必要な資金を得ることができます。

ファクタリングは融資（ローン）ではなく売掛金の売却であるため、新たな借入にはあたりません。そのため担保提供や保証人も不要で、財務上も負債として計上されずに済むケースが多い点が特徴です。

ただし、売掛債権を売却する契約である以上、契約内容や手続きについてはいくつか注意すべきポイントがあります。

2社間ファクタリング・3社間ファクタリングの違い

ファクタリングには契約形態として

1. 「2社間ファクタリング」
2. 「3社間ファクタリング」

の2種類があります。それぞれ契約に関与する当事者が異なり、手続きや手数料にも違いがあります。

2社間ファクタリング

利用者（債権を売る会社）とファクタリング会社の2者だけで契約を結ぶ方式です。取引先（売掛先）には債権譲渡の通知を行わず、売掛先を介さずに資金化できる点が特徴です。この方式では売掛先にファクタリング利用を知られないメリットがあり、手続きもシンプルで最短即日で資金調達可能といったスピード面の利点があります。

一方で、ファクタリング会社にとっては売掛先から直接回収できない分リスクが高くなるため、手数料が割高（一般に売掛金額の10～20％程度）に設定される傾向があります。

また、売掛金の支払いは一旦利用者が受け取ってからファクタリング会社に送金する流れになるため（取引先非通知のため）、契約内容によっては債権譲渡登記（第三者への対抗要件の確保）の手続きを求められるケースもあります。

売掛先（取引先）に通知せず、利用企業（お客様）とファクタリング会社の二者間で売掛金譲渡契約を結びます。利用企業はファクタリング会社に売掛金を売却し、②のタイミングで売掛金の売却代金（手数料控除後の金額）を受け取ります。

その後、取引先から通常通り③売掛金の支払いを受けたら、利用企業は④その売掛金をファクタリング会社へ送金します。取引先は契約に関与せず、ファクタリング利用の事実を知らないまま通常の支払いを行う点がポイントです。

3社間ファクタリング 

利用者・ファクタリング会社に加えて売掛先も契約に加わる方式です。利用者が売掛先に対し債権譲渡の許可（承諾）を得てから契約を締結し、資金化を行います。売掛先を交えた契約となるため、売掛先には必ずファクタリング利用が知られることになりますが、その代わりにファクタリング会社は売掛先から直接代金を回収できるため手数料が割安（一般に数％～10％未満程度）に設定されます。

契約手続きとして売掛先の承諾を得るプロセスが必要なため2社間より時間はかかりますが、それでも契約がスムーズに進めば数日程度で資金調達が可能です。売掛先との関係が良好で承諾を得られる場合は、手数料負担を抑えるため3社間ファクタリングを選ぶことも検討するとよいでしょう。

3社間ファクタリングの仕組み

 売掛先（取引先）の承諾を得て三者間で契約します。利用企業は取引先への請求発生後、②売掛先に対して債権譲渡の通知と承諾を取得します。その上でファクタリング会社が債権を買取り、③売掛金の売却代金を利用企業へ支払います。そして支払期日になったら、④取引先がファクタリング会社に直接売掛金を支払う流れです。取引先に債権譲渡が公示される分、ファクタリング会社としても安心できるため、2社間より手数料が低く抑えられるメリットがあります。

なお、ファクタリング契約には償還請求権の有無（いわゆる「リコースあり／なし」）も重要なポイントです。

通常、専門のファクタリング会社による買取契約では償還請求権なし（ノンリコース）とされ、万一売掛先が倒産などで支払い不能になっても利用企業に返済義務が生じない形で行われます。

しかし一部には償還請求権ありの契約形態も存在します（例えば銀行系列のファクタリングや、実質は融資に近い契約の場合など）​。

償還請求権ありの場合、売掛先から回収できなかった際に利用企業がファクタリング会社へ立替金の返済義務を負うため注意が必要です。

契約時には「償還請求権の有無」を確認し、自社に不利な義務が発生しないかしっかりチェックしましょう。

2. ファクタリングのメリットとデメリット

ファクタリングの基本を理解したところで、そのメリットとデメリットを概観します。メリットとデメリットの両面を把握した上で利用可否を判断することが大切です。

＜ファクタリングの主なメリット＞

• 即日資金調達が可能なスピード – 他の融資手段に比べて審査・手続きが早く、最短即日で現金化できるケースもあります。必要書類も少なくオンライン完結できるサービスもあり、急な資金ニーズに応えられます。
• 審査が柔軟で利用しやすい – 売掛先の信用力を重視するため、利用企業自身の業績や信用状態に多少難があっても資金化しやすい場合があります（銀行融資ほど審査が厳しいわけではない）。開業間もない企業や赤字決算の企業でも、売掛先さえ堅実なら契約可能な点は大きな利点です。
• 担保・保証人が不要 – 売掛債権の売却による資金調達のため、不動産などの担保や第三者保証を要求されません。債務ではないので貸借対照表上も負債が増えず、オフバランス化によって財務健全性を維持できるメリットもあります。
• 売掛金回収リスクの低減 – （契約によりますが）ノンリコース型ファクタリングであれば、売掛先の倒産などによる未回収リスクをファクタリング会社に移転できます。いわば売掛金に対する保険的な効果も期待でき、安心して本業に専念できます。

＜ファクタリングの主なデメリット＞

• コスト（手数料）が高い – 最大のデメリットは手数料負担が大きい点です。一般的な銀行融資の金利（年利数％程度）に比べ、ファクタリングの手数料は売掛金額に対して数％～数十％と割高になるケースが多いです。​でも示されているように、2社間ファクタリングでは約10～20％、3社間では数％～10％前後が相場となっており、サービスによってはそれ以上の高額手数料が設定されることもあります。手数料が高いほど手元に残る資金が目減りするため、この点はファクタリング利用の大きなデメリットです。
• 売掛先に知られる可能性 – 3社間ファクタリングの場合、契約時に売掛先から債権譲渡の承諾を得る必要があるため、取引先に自社の資金繰り状況を知られてしまうことになります。場合によっては「資金繰りが苦しい会社なのか」と取引先に不安を与え、信用低下や取引縮小につながるリスクがあります​。2社間ファクタリングであれば売掛先に通知せず利用可能ですが、万一ファクタリング会社への支払いが滞った場合などには最終的に売掛先に知られてしまうケースもあり得ます。
• 契約手続きが複雑 – ファクタリング利用時には、契約書類の取り交わしや必要書類の提出など一定の手間や手続きコストが発生します。特に2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社のリスクヘッジのために債権譲渡登記を求められる場合があります。債権譲渡登記には登録免許税等の費用や数日の手続き時間がかかり、契約が複雑化する要因となります。また初回利用時は、決算書や請求書、取引基本契約書など多くの資料提出が必要となり、想定以上に手間がかかると感じる企業もあります​。
• 買取可能額に限りがある – ファクタリングで調達できる資金はあくまで売掛金の範囲内です。売掛債権以上の額を調達することはできず、またファクタリング会社によっては売掛金額の一部（例えば80％など）だけを買い取るケースもあります​。そのため、希望額が売掛金の額を上回る場合や、十分な売掛金がない場合には、ファクタリングだけで必要資金を確保できない可能性があります。
• 利用できない場合がある – ファクタリングは万能ではなく、審査に通らないケースもあります。売掛先の信用力が著しく低かったり、売掛金の発生時期が不確実な場合、あるいは税金滞納などで利用企業の経営が著しく悪化している場合など、ファクタリング会社の基準によっては契約を断られることがあります​。特に銀行系のファクタリングサービスは審査基準が厳しく設定されていることが多く、「銀行融資ほどではない」とはいえ場合によっては審査が厳しいと感じる場面もあり得ます。
• 継続利用による弊害 – ファクタリングは本来一時的な資金繰り改善策ですが、安易に繰り返し利用すると手数料負担が累積し、かえって資金繰りを圧迫する恐れがあります。毎月のように売掛金を現金化していると、その度に売上の一部を手数料として失うことになり、利益率が低下します。結果として常態的な資金不足から抜け出せなくなり、抜本的な経営改善を遅らせる可能性があります。ファクタリングへの依存度が高まりすぎると、本来の経営改善策（コスト削減や収益性向上）を追求しなくなってしまう点もデメリットと言えるでしょう。

以上が代表的なファクタリングのデメリットです。

特に「手数料が高い」「売掛先に知られる」「契約が複雑」といった点は利用を検討する上で真っ先に考慮すべきリスクです。次章では、これらデメリットそれぞれについて具体的なリスク内容や事例を挙げて詳しく解説します。

3. ファクタリングのデメリットランキングと詳細解説

ここではファクタリングの主なデメリットについて、重要度や発生しやすさの観点からランキング形式で解説します。それぞれのデメリットが企業にもたらしうるリスクと具体例、対処法についても触れます。

1. 手数料が高い

手数料負担の大きさはファクタリング最大の弱点です。例えば1000万円の売掛金をファクタリングした場合、2社間ファクタリングなら100万～200万円程度（10～20％）の手数料が差し引かれるのが相場で、3社間でも数十万円～100万円（数％～10％）程度はかかります​。このようにファクタリング手数料は他の資金調達手段と比べ割高であり、短期の資金繰り改善策としては便利でも、長期的に見ると利益圧迫要因となりかねません。

リスク例: ある中小企業では、売上利益率が10％程度しかないにもかかわらず毎月ファクタリングを利用し続けた結果、手数料負担で利益が相殺され資金繰りが一向に改善しないという事態に陥りました。本来であれば黒字のはずが、手数料を差し引くとほとんど手元に残らず、慢性的な現金不足から抜け出せなくなってしまったのです。

対策: 手数料による目減りを抑えるには、できるだけ低い手数料率のファクタリング会社を選ぶことが重要です。複数社から見積もりを取り相場を把握した上で契約すれば、不当に高い手数料を避けられます。また、可能であれば3社間ファクタリングを検討したり、ファクタリング以外の安価な資金調達手段（後述）との併用も考えましょう。一時的な利用に留め、ファクタリング依存に陥らないことも大切です。

2. 売掛先に知られるリスク

ファクタリング利用が取引先に露見することによる信用不安も大きなデメリットです。特に3社間ファクタリングでは契約時に売掛先の了承が必要なため、取引先は自社がファクタリングを利用している事実を確実に知ることになります。「資金繰りが厳しいのではないか」といった不信感を持たれる可能性があり、場合によっては取引停止や発注縮小などの不利益につながりかねません​。

リスク例: 実際に、下請企業A社が3社間ファクタリングを利用したところ、主要取引先から「経営は大丈夫か？」と懸念されてしまい、新規の受注を控えられてしまったケースがあります。本来資金繰りを良くするための施策が、逆に売上機会の減少という形で跳ね返ってきたのです。

対策: 取引先との信頼関係を守るためには、可能な限り2社間ファクタリングを利用することが基本となります（ただし2社間には手数料増のデメリットがあります）。どうしても3社間が必要な場合は、取引先に対し「与信管理の一環でファクタリング会社に債権を管理してもらうだけ」といった前向きな説明をするなど、誤解を与えない工夫が必要です。また、取引先が理解を示してくれる場合はファクタリング利用の目的や期間を事前に伝えて協力を得るのも良いでしょう。いずれにせよ、売掛先に不信感を与えないよう細心の注意を払うことが重要です。

3. 償還請求リスク（ノンリコースでない契約）

通常のファクタリング契約では前述のとおり償還請求権なし（ノンリコース）が一般的ですが、一部に償還請求権あり契約が存在します。この場合、売掛先からの回収に失敗した際、利用企業がファクタリング会社に対して代金を返済する義務を負います。言い換えれば、売掛金が回収不能になったときのリスクを利用企業が最終的に背負うことになり、ファクタリングの意味が半減してしまいます。

リスク例: とある企業B社はメイン取引先の売掛金をファクタリングで資金化しましたが、実は契約が銀行系のファクタリングサービスで償還請求権ありでした。その後、不運にも取引先が倒産し売掛金回収不能に陥ったため、B社はファクタリング会社に対し買取代金の返還を求められる事態となりました。本来であればリスクヘッジできるはずだった倒産リスクが結局自社に降りかかり、支払不能により倒産寸前に追い込まれてしまったのです。

対策: 償還請求リスクを避けるには、契約時に「償還請求権の有無」を必ず確認することです。基本的にノンリコース型を選ぶのが安全ですが、やむを得ずリコース型契約を結ぶ場合でも、取引先の信用状況をよく精査し倒産の可能性が低い売掛金のみを対象にするなど慎重な検討が必要です。また契約書に難解な条項がある場合は専門家に確認してもらい、自社に不利な返済義務が発生しないようにしましょう。

4. 利用できない（審査落ち）の可能性

ファクタリングは銀行融資より利用ハードルが低いとはいえ、誰もが必ず使えるわけではありません。ファクタリング会社は売掛先の信用力を重視しますが、場合によっては利用企業自身の状況や売掛金の内容も審査対象になります。例えば以下のようなケースでは契約を断られる可能性があります。

• 売掛先の経営状況が悪化しており、支払い遅延や貸倒のリスクが高い場合
• 売掛金の発生から回収までの期間が通常より長期である場合（回収まで時間がかかりすぎると敬遠される）
• 利用企業が差押えを受けていたり債務超過など深刻な財務問題を抱えている場合
• 個人事業主や設立直後の法人など、ファクタリング会社がサービス対象外としている場合​

特に大手銀行系のファクタリングサービスは銀行融資と同程度に審査が厳しく、思ったより審査が厳しいと感じる企業もあるでしょう​。このようにファクタリングにも一定の利用条件や審査基準が存在し、条件に合致しないと資金調達できないというデメリットがあります。

リスク例: 中小企業C社は銀行から融資を断られ（銀行の審査はどうしても厳しいものです）、代わりにファクタリングで資金調達しようと考えました。しかし主要売掛先が創業間もない新興企業で業績データも少なかったため、複数のファクタリング会社に申し込むも審査落ちが続いて資金を調達できないという結果になりました。銀行にも頼れずファクタリングも利用できずで、資金繰りは行き詰まりかけてしまいました。

対策: ファクタリングを確実に利用するためには、売掛先の選定が重要です。できれば財務内容が良好で信用力の高い取引先の売掛金を選んで申し込みましょう。また、未払いの税金がある場合など自社側にマイナス要素があると審査に影響する可能性があるため、日頃から財務管理を適切に行い信用を損ねないよう努めることも大切です。

加えて、複数のファクタリング会社に当たってみるのも有効です。各社で審査基準が異なるため、ある会社でダメでも別の会社なら通るケースもあります。最終的にファクタリングが利用できない場合に備え、他の資金調達策も検討しておくと安心です。

5. 契約手続き・事務負担が発生する

ファクタリング利用には、どうしても一定の事務手続きやコストが伴います。他の資金調達にはない独自の手続きとして、前述の債権譲渡登記や、売掛先への通知・承諾取得（3社間の場合）といった工程が発生します。さらに、ファクタリング会社によっては初回契約時に以下のような多くの書類提出を求められます​。

• 登記簿謄本、印鑑証明書など会社の公式書類
• 身分証明書（運転免許証等）や代表者の個人情報
• 直近期の決算書類、納税証明書など財務関連書類
• 売掛先との基本契約書、発注書・納品書・請求書など取引に関する書類一式
• 取引銀行の通帳コピー、税金や社会保険の納付証明書　など

これらを準備・提出し、契約書を取り交わす作業には時間と労力がかかります。場合によっては**「思ったより手間がかかった」**と感じる要因となり、急いでいるときにはストレスになるでしょう。手続きの複雑さ自体は致命的なデメリットではないものの、即日資金調達を希望していたのに書類不備で数日ロスした…といったことがないよう、事前に必要な手続きを把握して備えることが必要です。

リスク例

ベンチャー企業D社は支払期日が迫る中ファクタリングを申し込みましたが、契約に必要な取引基本契約書のコピーや納税証明書などを用意しておらず、書類集めに時間を取られてしまいました。結果、資金調達が期待より遅れ、仕入れ代金の支払いにも影響が出そうになってしまいました。

対策

ファクタリングの契約手続きによるタイムロスを避けるため、事前準備を万全にしておきましょう。ファクタリング会社から提示される必要書類リストを確認し、不足なく揃えて迅速に提出することで、スムーズに契約を進めることができます。また、債権譲渡登記が必要と言われた場合は費用負担も考慮し、それでもメリットが上回るか判断すると良いでしょう。近年はオンライン完結で手続きできるサービスも増えているため、事務負担を軽減したい場合は非対面で契約できるファクタリング会社を選ぶのも一手です。

6. 悪質業者の存在（詐欺被害のリスク）

ファクタリング業界は急成長している反面、法規制が未整備な部分もあり、残念ながら悪質な業者が存在するリスクも指摘されています。ファクタリング自体は法律上合法な取引ですが、それを装い実質は高利の貸付を行う「偽装ファクタリング」や、法外な手数料を騙し取る悪徳業者に引っかかる危険性もゼロではありません​。金融庁も「ファクタリングを装ったヤミ金融業者の存在」に関して注意喚起を行っています​。

リスク例: 資金繰りに追われていた企業E社は、「審査なし・手数料格安」をうたう業者に飛びつきました。しかし実態は違法な高金利貸付を行う闇金融で、売掛金を担保に取られた上で法外な利息（手数料）を要求され、支払いが滞ると執拗な取り立てを受ける羽目になりました。E社は専門家に相談して事なきを得ましたが、一歩間違えば倒産に追い込まれるところでした。

対策: 悪徳業者の被害に遭わないためには、信頼できるファクタリング会社を選ぶことが何より重要です。具体的には以下のポイントに注意してください。

• 手数料の相場を大きく逸脱していないか: 不自然に手数料が高すぎる（あるいは安すぎる）場合は要注意です。一般に2社間で10～20％、3社間で2～10％程度が目安なので、それを大幅に超える条件を提示する会社は避けましょう。逆に「手数料◯％保証」などとうたっている場合も裏で別費用を請求される可能性があります。
• 契約内容が明確か: 正式な契約書を交わさなかったり、「必ず買戻し義務がある」など実質的に貸付と変わらない条件が含まれていないか確認しましょう。契約書に「債権譲渡契約」であることや償還請求権の有無が明記されていない場合は危険です。
• 会社の実態・評判を確認: 業者の所在地や連絡先が明確でない、会社のホームページが存在しない（あるいは極端に情報が少ない）場合は注意しましょう。可能であればその業者名で口コミや評判をインターネット検索し、過去にトラブルがないか調べてください。
• 違法な要求をしてこないか: 中には「架空の売掛金を作ってでも資金を渡しますよ」などと持ちかけてくる業者もあります。明らかな粉飾や書類改ざんをそそのかす業者は100%ブラックですので、絶対に関わってはいけません。

このように、少しでも不信感を覚える場合は契約を見送り、信頼できる別の会社を検討しましょう。幸い現在は、財務局に事業者登録をしている会社や業界団体に加盟しているファクタリング会社も増えてきています。不安な場合はそうした実績ある会社を選ぶのも安全策です。

以上、ファクタリングの主要なデメリットをランキング形式で解説しました。これらを踏まえて、次章ではファクタリングと他の資金調達手段を比較し、それぞれのメリット・デメリットを見てみましょう。

4. ファクタリングと他の資金調達手段の比較

資金調達にはファクタリング以外にも様々な方法があります。ここでは銀行融資、ビジネスローン、クラウドファンディング、キャッシング（カードローン）、クレジットカード現金化とファクタリングを比較し、それぞれの特徴やメリット・デメリットを整理します。自社の状況や資金ニーズに照らし、どの手段が適しているか検討する参考にしてください。

各手段について、「資金調達のスピード・審査難易度」「費用（利息・手数料）」「その他の特徴」の観点で比較した表を以下に示します。

表：ファクタリングと主要な資金調達手段の比較

この表のとおり、ファクタリングはスピード面で群を抜いて優れていますが手数料コストが高く、銀行融資はコスト低いものの審査ハードルが高い、といった違いがあります。それぞれ一長一短があるため、資金調達の目的や緊急度、必要額に応じて最適な手段を選ぶことが重要です。例えば「多少時間がかかってもコストを抑えて大口資金を確保したい」なら銀行融資、「多少費用がかさんでも明日までに資金が欲しい」ならファクタリング、「事業のファンを増やしながら資金調達したい」ならクラウドファンディング、というように使い分けが考えられます。

5. ファクタリングの成功事例・失敗事例と対策

ファクタリングを活用して資金繰りを改善できた成功事例もあれば、使い方を誤ってトラブルに陥った失敗事例もあります。ここではその両方を紹介し、成功のポイントや失敗しないための対策を考えてみましょう。

成功事例：ファクタリングで資金繰り改善に成功したケース

ケース1: 銀行融資が難しくファクタリングで受注拡大に成功

地方の製造業であるF社は、大手企業から大口注文を受け生産を拡大するチャンスがありました。しかし材料仕入れに先行資金が必要だったものの、創業間もなく担保もないF社は銀行からの融資審査が厳しく、タイミングに間に合いませんでした。そこでF社は売掛先である大手企業の売掛金を使ってファクタリングを利用。取引先の信用力が高かったため審査もスムーズに通り、注文書をもとに即日で必要資金を調達できました。その資金で無事に製造・納品を行い、取引先からの信頼も向上。売掛先への支払いサイトは長かったものの、ファクタリングのおかげで機会損失なく受注を拡大できた成功例です。このF社の場合、銀行融資では間に合わない場面でファクタリングを適切に活用したことが功を奏しました。

ケース2: 取引先に知られず資金ショートを回避

サービス業の個人事業主Gさんは、一時的な運転資金不足に陥ったものの、メイン取引先との関係を重視してファクタリング利用をためらっていました。そこでGさんは2社間ファクタリングを選択。取引先には知られずに売掛金を現金化し、従業員の給料支払いを切り抜けることができました。さらに数か月後、業績改善によってファクタリングから“卒業”し、通常のキャッシュフローに戻せています。この例では、売掛先非通知型（2社間）を上手に活用し信用不安を与えなかったこと、そしてファクタリングの利用を長期化させず早期に通常運転へ戻したことが成功のポイントと言えます。

失敗事例：ファクタリング利用でトラブルになったケース

ケース1: 手数料負担増で資金繰り悪化

卸売業のH社は慢性的な資金不足から抜け出せず、毎月のようにファクタリングで売掛金を現金化していました。しかし高い手数料を支払い続けた結果、手元に残る利益がほとんどなくなり資金繰りは改善せずじまい。むしろファクタリングなしでは立ち行かない悪循環に陥りました。最終的にH社は、利益率の向上策や固定費削減など根本的な改善を行わなければならないと痛感し、ファクタリング依存から抜け出すのに時間を要しました。このケースでは、ファクタリングを短期的な応急処置としてではなく常用してしまったことが失敗の原因です。

ケース2: 悪質業者に騙され多額の損失

建設業のI社は支払いサイトの長さに悩み、ネットで見つけたあるファクタリング業者に相談しました。提示された手数料は30%超と非常に高額でしたが、「審査に通りづらい状況なので仕方ない」と契約。しかし実際には相場以上の不当な手数料で、I社は大きく資金を削られてしまいました。その上、その業者は貸金業の登録もない違法業者であったことが後に判明し、追加で不当な請求を受けるトラブルにも発展しました。幸い法的措置で解決しましたが、相場を無視した高手数料や契約内容の不透明さに気付けなかったことが失敗の教訓となりました。

これら失敗事例から学べること: ファクタリングの失敗事例では、「手数料コストの見誤りによる経営悪化」「悪質業者の利用による被害」が目立ちます。したがって、事前に適正な手数料範囲を把握し、複数社を比較検討すること、そして信頼できる業者かどうかを見極めることが何より重要です。また、ファクタリングに過度に依存せず、並行して根本的な資金繰り改善策（経費見直しや収益アップ策、他の資金調達手段の併用など）を講じる姿勢も大切です。次章では、これらの教訓を踏まえファクタリングを安全に利用するための具体的なポイントを解説します。

6. ファクタリングを安全に利用するためのポイント

ファクタリングを賢く安全に活用するために、以下のポイントを押さえておきましょう。悪質な業者を避け、法的リスクを回避し、できるだけ有利な条件で利用するためのコツをまとめます。

悪質なファクタリング業者を見分ける方法

前述の失敗事例のように、悪徳業者に当たってしまうと大きな損失を被る可能性があります。契約前に以下の点をチェックし、信頼できるファクタリング会社かどうか見極めることが重要です。

• 手数料や費用が適正か: 法外に高い手数料を提示していないか確認します。相場（2社間でおおよそ10～20%、3社間で2～10%前後）からかけ離れた手数料率の場合は注意しましょう。また極端に安すぎる場合も、他名目の費用を後から請求される可能性があり要警戒です。
• 契約内容が明瞭か: 債権譲渡契約の内容が書面で提示され、償還請求の有無や手数料率、支払条件などが明確に説明されているか確認します。契約書作成を渋ったり、不利な条件を口頭で押し付けようとする業者は避けましょう。
• 会社情報や実績: 会社の所在地（オフィス）が実在するか、連絡先や代表者名が明記されているかなど基本情報をチェックします。可能ならその会社名でインターネット検索し、利用者の評判や口コミを調べてみるのも有効です。実績豊富で知名度のある会社、金融機関や行政と提携のあるサービスなどは比較的安心材料となります。
• 登録の有無: ファクタリング自体は貸金業ではないため免許は不要ですが、信頼性の高い事業者は自主的に財務局への事業者登録をしていたり、業界団体に加盟してコンプライアンスを遵守している場合があります。そうした公的な登録・加盟状況もチェックポイントです。
• 怪しい勧誘や指示がないか: 架空債権の計上を持ちかけてきたり、「今契約しないと間に合わない」と不安を煽るような極端な勧誘をする業者には要注意です。誠実な会社はリスクやデメリットもきちんと説明してくれるものです。

もし少しでも不信感がある場合は、その業者との契約は見送りましょう。金融庁も「偽装ファクタリング（ヤミ金融）業者を利用しないように」と注意喚起しています​。リスクを避けるためにも、業者選びには慎重すぎるくらいがちょうど良いと言えます。

ファクタリングの法的リスクと注意点

ファクタリングそのものは合法な取引ですが、いくつか法的な注意点があります。

• 利息制限法が適用されない: ファクタリングは貸付ではなく売買契約のため、利息制限法や出資法の上限金利規制が適用されません​。そのため極端に言えば年利換算で法律の上限を超える手数料設定も形式上は違法にならないのが現状です。この点を悪用した高額手数料もあり得るため、利用者が相場感を持って自衛する必要があります。
• 債権譲渡禁止特約: 売掛先との基本契約書に**「債権譲渡禁止条項」**がある場合、ファクタリング契約がそれに抵触する可能性があります。民法改正により債権譲渡禁止特約があっても譲渡自体は有効になりましたが、取引先との契約違反になる場合もあるため、事前に契約内容を確認し必要に応じて売掛先に了承を得ることが大切です。
• 二重譲渡の禁止: 同一の売掛債権を複数のファクタリング会社に譲渡する「二重譲渡」は明確な契約違反であり、最悪の場合詐欺罪等に問われる可能性もあります。資金繰りが厳しくても、一つの債権を重ねて売るような行為は絶対に避けましょう。
• 債権譲渡登記の効力: 2社間ファクタリングで登記を行った場合、登記情報は誰でも閲覧できるため取引先に知られる可能性があります​。法律上問題はなくとも、実務的な信用リスクとなり得る点に注意が必要です。
• 債権売買契約の遵守: ファクタリング契約後、利用企業が売掛先から回収した代金をファクタリング会社に支払わない（使い込んでしまう）と契約違反となり、法的措置を取られる場合があります。契約上の義務は確実に履行し、ファクタリング会社との信頼関係を損なわないようにしましょう。

以上のような法的ポイントを踏まえ、契約内容を正しく理解し遵守することが重要です。不安な場合は契約前に専門家（弁護士等）に相談するのも有効な手段です。

手数料を抑えて上手にファクタリングを活用するコツ

最後に、ファクタリングをなるべく有利な条件で賢く利用するためのコツを紹介します。

• 複数のサービスを比較する: ファクタリング会社によって手数料率やサービス内容は様々です。1社だけで決めずに、必ず複数社から見積もりや条件提示を受け、比較検討しましょう。競合させることで手数料交渉の余地が生まれる場合もあります。
• 売掛先の選定を工夫する: 手数料は売掛先の信用リスクに応じて変動します。信用度の高い売掛先の債権ほど手数料は低く抑えられる傾向があります。複数の売掛金がある場合は、できるだけ信用力の高い取引先の売掛金をファクタリングに出すと手数料面で有利です。
• 3社間ファクタリングの活用: 取引先にファクタリング利用を知られても問題ない、あるいは理解が得られる場合は、3社間ファクタリングを選択することで大幅に手数料を下げられる可能性があります。多少時間がかかってもコストを重視したい場合には検討しましょう。
• 早期の“卒業”を目指す: ファクタリングはあくまで応急措置と位置付け、資金繰りが安定したらできるだけ早く利用をやめるのが理想です。長期連用すると手数料負担が蓄積するため、「資金繰り改善までの○ヶ月だけ利用する」といった計画を立て、改善後は銀行融資への切り替えや社内留保の拡充など次のステップに移行しましょう。実際、ファクタリングを“卒業”して健全経営に転じた企業も多く存在します。
• 信頼関係を築く: 同じファクタリング会社を継続利用して信頼関係を築くと、2回目以降の手数料を優遇してもらえたり、柔軟に対応してもらえるケースがあります​。最初の取引で誠実に対応し、期日どおりに支払い等を行えば、次回以降の条件交渉で有利に働くことも期待できます。

これらのコツを実践することで、ファクタリング利用によるコストやリスクを最小限に抑え、メリットを最大限享受できるでしょう。

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以上、ファクタリングのデメリットを中心に、メリットや他手段との比較、事例、そして安全に活用するためのポイントを解説しました。ファクタリングは上手に使えば非常に強力な資金調達ツールですが、デメリットやリスクも理解した上で、計画的に利用することが大切です。適切な判断と準備でファクタリングを活用し、ぜひ自社の資金繰り改善と事業成長に役立ててください。