国外送金とは?手数料・おすすめ方法・注意点まで初心者にもやさしく徹底解説

目次

国外送金の基礎と実務が一気にわかるガイド—銀行・資金移動業・ファクタリング現場で迷わないために

「国外送金って、結局なにを準備すればいいの?」「手数料はいくら?どれが安い?」——はじめて海外へお金を送るとき、誰もが同じ不安を抱えます。本記事は、金融・ファクタリングの現場で日常的に使われるワード「国外送金」を、仕組み・手数料・必要情報・注意点まで、実務でそのまま使えるレベルでやさしく解説します。読み終わるころには、銀行窓口でもオンラインでも、自信を持って手続きを進められるようになるはずです。

業界ワード(国外送金)

読み仮名 英語表記
こくがいそうきん international remittance / cross-border wire transfer / foreign remittance

定義

国外送金とは、日本居住者が海外にある受取人口座(または海外の受取人)へ資金を移転すること、またはその取引全般を指す金融実務用語です。銀行や資金移動業者を介して、国境をまたいで資金が動く点が特徴で、決済ネットワーク(例:SWIFT)、中継銀行、為替(通貨交換)など複数の要素が関わります。実務では「仕向送金(アウトワード)」「被仕向送金(インワード)」という区分や、手数料負担方式(OUR/SHA/BEN)などの細かい指定が伴います。

現場での使い方

言い回し・別称

国外送金は、金融現場では「海外送金」「外国送金」「国際送金」とも呼ばれます。仕向側から見れば「仕向送金(Outward Remittance)」、受取側からは「被仕向送金(Inward Remittance)」です。実務書類では「TT送金(Telegraphic Transfer)」という言い方も使われます。

使用例(3つ)

  • 「請求書の支払いはTT送金(OUR指定)でお願いします。着金期日は今月末で。」
  • 「今回の輸出代金はファクタリングで早期化、買い手からの被仕向送金はUSDで受けます。」
  • 「米国の委託先に外貨建てで国外送金。受取銀行のSWIFTとABAルーティングコードを確認してください。」

使う場面・工程

典型的な流れは、送金目的の確認(貿易代金、留学費用、海外給与など)→受取人情報の収集(氏名・住所・口座・銀行情報)→手数料負担方式と通貨の選択→為替レート確定→送金実行→トラッキング→着金確認、となります。貿易取引では発注・出荷・インボイス発行・支払条件(T/T前払い、船積後送金、L/C等)の確定と連動します。ファクタリングでは、買い手の支払原資が国外送金となるため、着金通貨・手数料負担の決め方が回収金額に直結します。

関連語

  • 仕向送金/被仕向送金
  • SWIFT(BIC)、IBAN、ABA、Sort Code、BSBなどの銀行識別子
  • 手数料負担(OUR/SHA/BEN)
  • 為替レート(TTS/TTB、スプレッド)
  • 中継銀行(コルレス銀行)、コレスネットワーク
  • KYC/AML、制裁スクリーニング、取引目的確認
  • 輸出入決済(T/T、L/C、D/P、D/A)、輸出ファクタリング、貿易ファイナンス

国外送金の仕組みと関係者

国外送金は、送金銀行→(中継銀行)→受取銀行というネットワークで資金を移動します。銀行間の指図は主にSWIFTネットワークで行われ、取引ごとに識別子(トラッキング番号)が付与されます。中継銀行は、送金銀行と受取銀行が直接口座関係を持たない場合に資金を橋渡しする役割です。資金は通常1〜3営業日で到着しますが、制裁・AML審査や情報不足があると保留や返金となることがあります。

手数料と費用構造を理解する(OUR/SHA/BENと為替)

国外送金のコストは「見える手数料」と「レートの上乗せ(為替スプレッド)」の合計で考えます。

  • 送金手数料:送金銀行が課す。金額や通貨によって定額・料率が異なる。
  • 中継銀行手数料:コルレス(中継)銀行が差し引く場合がある。金額は事前確定しづらい。
  • 受取銀行手数料:受取側金融機関が差し引く場合がある。
  • 為替手数料(スプレッド):円→外貨、外貨→円の交換時に適用。店頭提示のTTS/TTBにスプレッドが含まれる。
  • 付随手数料:一部銀行にある追加費用(例:外貨送金時の付加手数料等)。

手数料負担方式は次の3つが標準です。

  • OUR:全手数料を送金人負担。受取人は満額を受け取る前提。ファクタリングや厳格な満額入金が必要な場面で有効。
  • SHA:送金人と受取人で分担。送金人は自国側、受取人は受取側の費用を負担。
  • BEN:全手数料を受取人負担。請求側が手数料控除を許容する場合に限定的に使用。

為替はコストの見落としポイントです。例えば「基準レートが150.00円、実行レートが151.00円(TTS)」でUSDを購入して送金する場合、1米ドルあたり1円の上乗せがコストになります。外貨で送金して先方で現地通貨に替えるか、円建てで送るかも総コストに影響します(相手側のレートや受取銀行手数料も考慮)。

送金方法の種類と選び方

1) 銀行からの国外送金

信頼性が高く、法人貿易・大口取引に向きます。中継銀行経由でも広範な通貨に対応。反面、手数料はやや高めで、審査が厳格です。

2) 資金移動業者(ノンバンク)

小口・個人向けでコストやスピードに優れるサービスが多く、オンライン完結が可能。対応通貨や受取方法(口座入金、キャッシュピックアップ等)は事業者により異なります。業者は登録制で、本人確認とAML対応は必須です。

3) 貿易決済の枠組み(L/C、ドキュメンタリー)

信用状(L/C)や書類買取(D/P、D/A)など、書類と代金決済をひも付ける方法。リスクを管理しつつ送金が行われます。コストは上がりますが、未回収リスクの低減が目的の貿易で選択されます。

4) ファクタリングとの組み合わせ

輸出ファクタリングでは、海外の買い手からの支払い(被仕向送金)を前提に、売掛金を早期化します。満額着金が必要な場面が多く、OUR指定や受取通貨の設計が重要。回収口座の名義・住所、請求書の整合性は審査のハイライトです。

必要情報と書類チェックリスト

ミスや保留を防ぐため、以下を事前にそろえます。

  • 受取人情報:氏名(ローマ字)、住所(英語表記)。法人なら登記名の英字表記。
  • 受取銀行情報:銀行名、支店名、住所(国名含む)。SWIFT/BIC(通常8または11桁)。
  • 口座情報:口座番号、国によってはIBAN(欧州等)、米国はABA(Routing Number)、英国はSort Code、豪州はBSBなど。
  • 送金目的:貿易代金、学費、報酬、出資、貸付返済など具体的に。
  • 請求書・契約書:金額・通貨・支払条件・相手先情報が一致しているか。
  • 手数料負担方式:OUR/SHA/BENの指定。
  • 送金通貨:円建てか外貨建てか、先方の希望とコストを比較。
  • 連絡先:不備時の連絡担当(英語対応の可否も確認)。

コンプライアンスと法令の要点(日本)

国外送金はマネロン・テロ資金供与の観点から厳格に運用されます。以下は一般的な留意点です。

  • 本人確認(KYC):口座開設や初回送金時に本人確認書類、住所確認、職業情報等が必要。
  • 取引目的・資金の性質:送金理由、資金の源泉、相手方との関係性を確認されることがあります。
  • 制裁スクリーニング:国・地域・個人・企業が制裁対象でないかをチェック。不一致やヒットがあれば保留・拒否。
  • 外為法の報告:一定額以上(例:3,000万円相当額以上)の支払・受取は日本銀行への報告対象となる場合があります。通常は金融機関が手続を案内・取り次ぎします。
  • 税務(国外送金等調書):1件あたり一定額以上の国外送金について、金融機関が税務当局に調書提出を行う制度があります。贈与や所得に該当する場合は受送金者側の申告が必要になることがあります。

いずれも一般的な枠組みであり、具体の運用は金融機関や取引内容で異なります。疑問点は必ず事前に取引先金融機関へ確認してください。

はじめての国外送金:実行ステップ

  • 1. 相手先と条件合意:通貨、金額、支払期日、手数料負担(OUR/SHA/BEN)。
  • 2. 情報収集:受取人・受取銀行の正式表記、SWIFT/BIC、IBAN等。
  • 3. コスト試算:送金手数料+中継・受取手数料の想定+為替スプレッド。満額必要ならOUR。
  • 4. 送金指図の作成:オンラインまたは窓口で入力。目的・契約番号・インボイス番号を記載すると問い合わせに強い。
  • 5. レート確定と実行:外貨を購入する場合はレート適用タイミングを確認。カットオフ時刻にも注意。
  • 6. トラッキングと着金確認:取引番号(場合によりUETR等)で追跡。受取人にも入金明細を共有。

着金までの日数とカットオフ

一般的には1〜3営業日で着金します。要因は以下です。

  • 通貨・国:主要通貨は速い傾向。新興国は中継銀行が増え遅延の可能性。
  • 審査:制裁・AMLで保留になれば追加資料が必要。
  • カットオフ:銀行ごとの当日扱い締切時刻。過ぎると翌営業日扱い。
  • 時差・休日:相手国の休日や時差でズレが生じます。

よくあるエラーと対処法

  • SWIFT/BICの誤り:8桁/11桁の表記ミスが多い。公式書類で再確認。
  • 名義不一致:口座名義と受取人名のスペル・順序が一致していないと保留・返金に。
  • 住所不足:国名・郵便番号・番地まで英語表記で。会社名の略称も注意。
  • 目的不明確:問い合わせが来ると大幅な遅延の原因。請求書番号や契約番号を備考に。
  • 制裁対象国・相手:事前に相手先の所在国や関連当事者を確認。代替ルートの検討を。
  • 費用負担の認識差:OURのはずがSHAで送金→先方に不足金が発生。契約書やインボイスに明記。

為替と通貨の選び方:コストを最小化するコツ

  • 請求通貨で支払う:相手の希望通貨=請求通貨なら、受取側の両替コストを避けられます。
  • どちらで両替するか:日本側で外貨購入か、相手側で現地通貨に替えるかを手数料総額で比較。
  • 相場変動リスク:決済まで期間が空くと為替差損が出ることも。先物予約(為替予約)でヘッジする選択肢もあります。

ファクタリング・貿易金融での国外送金のポイント

輸出ファクタリングや国際与信の現場では、国外送金が回収の生命線です。次に留意します。

  • 満額着金の確保:買い手→ファクター(または債権者)への支払いは原則満額が必要。OUR指定を徹底。
  • 回収通貨の設計:売上通貨・契約通貨・回収通貨が一致しないと為替差損が発生。契約段階で統一を。
  • 通知・請求情報の整合:インボイスの名義・住所・口座情報が送金指図と一致しているかを審査。
  • 着金エビデンス:着金明細(アドバイス)を速やかに共有。期日管理とグレース期間の取り決めも重要。
  • 与信・制裁チェック:買い手の所在国や関係者に制裁リスクがないか事前に確認。

ケースで学ぶ:実務シーン別の考え方

ケース1:輸出代金の回収

インボイスUSD建て、支払条件T/T後払い。ファクタリング利用で早期資金化。回収はOUR指定、受取通貨USD。中継銀行手数料を避けるため、相手側銀行の推奨コルレスを確認。契約・インボイス番号を送金メッセージに記載し、照合性を高める。

ケース2:海外フリーランサーへの報酬支払い

少額・高頻度。資金移動業者のほうが手数料・レートが有利な場合あり。先方の受取方法(口座入金/ウォレット)と税務(源泉の要否)をチェック。手数料負担SHAでも合意があれば実務上問題は少ない。

ケース3:海外子会社への運転資金送金

金額大きめで審査が厳格。送金目的(貸付・増資・費用精算など)を明確化し、社内決裁書・取締役会議事録等の補足資料を用意。3,000万円相当額以上の送金では外為法の報告対象となる場合があるため、事前に銀行と手続を確認。

問い合わせに強い備考・メッセージの書き方

  • Invoice No. / Contract No. / PO No. を記載
  • Purpose of Payment(例:Payment for goods, HS code/商品概要)
  • Full amount requested under OUR(满額着金希望)
  • 受取担当者名・メールを相手に共有(銀行問い合わせ対応が早い)

国内外の識別子の基礎

  • SWIFT/BIC:8または11文字(例:AAAAJPJTXXX)。
  • IBAN:国ごとに桁数が異なる欧州等の口座識別子。国名・支店名の記載も求められることがある。
  • ABA(米国)、Sort Code(英国)、BSB(豪州)など:国固有のルーティング番号。受取銀行の指示に従う。

トラブル回避のチェックポイント(総まとめ)

  • 手数料方式は書面で合意(OUR/SHA/BEN)。
  • 受取情報は「公式文書ベース」で確認(口頭伝達のみは避ける)。
  • 目的・契約・インボイスの整合性を確保。
  • カットオフと相手国休日をカレンダーで把握。
  • 高額・初回・ハイリスク国は余裕を持ったスケジュールで。

よくある質問(FAQ)

Q1. どの通貨で送るのが有利ですか?

請求通貨での支払いが基本です。円建て請求にUSDで支払うなど通貨がズレると、どこかで両替コストが発生します。相手側の受取条件・レート・手数料を含めて総額で比較しましょう。

Q2. OURにしたのに先方が満額受け取れていません。

中継銀行手数料が控除された可能性があります。送金指図のメッセージ欄で満額着金を強調し、受取銀行推奨の中継銀行ルートを事前に確認するとリスクを下げられます。返金や追加送金が必要な場合は取引先と迅速に協議を。

Q3. どれくらいで着金しますか?

通常1〜3営業日。制裁・AML審査や情報不足があるとさらに日数がかかることがあります。カットオフ時刻と相手国の営業日にも注意してください。

Q4. どんな書類が必要ですか?

本人確認書類、受取人・銀行情報、送金目的が分かる請求書・契約書など。金額や目的によって追加資料を求められることがあります。

Q5. 税金はかかりますか?

国外送金そのものに一律の税金がかかるわけではありませんが、贈与や所得に該当する場合は課税対象です。必要に応じて税務の専門家に相談してください。

まとめ:国外送金は「情報の正確さ」と「条件設計」で9割決まる

国外送金で困りごとが起きる原因の多くは、情報の不足・不一致、手数料方式の合意不足、スケジュールの見落としです。正確な受取情報を「公式書類」で確認し、OUR/SHA/BENや通貨を契約段階で取り決め、カットオフや審査時間に余裕を持たせる——この基本を守れば、ファクタリングや貿易決済でも安定して資金を動かせます。この記事を手元のチェックリストとして活用し、初めてでも安心・確実な国外送金を実現してください。

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記事執筆者
中島康彦 (なかじまやすひこ)

■ファクタリング実務・審査の専門家/金融ライター。
大手ファクタリング会社にて2者間・3者間・医療ファクタリングの組成・審査・導入支援を5年間担当。与信設計、債権譲渡禁止特約への実務対応、反社・不当条項チェック、請求書真正性の検証、適正手数料レンジの見立てなど、現場で培った知見をもとに、安全性・適法性・スピードのバランスを取った資金化支援を行ってきました。
現在は金融ライターとして**「ファクタリングナビ」で一次情報に基づく解説・検証記事を執筆。建設・運送・医療・ITを中心に、即日資金化の実務から資金繰り改善の中長期設計まで、経営者が意思決定に使えるコンテンツを目指しています。最新の制度・ガイドライン・判例等**を参照し、誤情報の排除と透明性を重視します。

■実績・取り組み
ファクタリング実務 5年(2者間/3者間/医療)
審査・与信・契約レビュー:数百件規模の案件に関与
手数料の妥当性評価・不当条項チェックの社内指針作成に参画
業界別(建設/運送/医療/IT)での導入支援経験
一次情報重視:制度・法改正の追随/誤情報の是正

■監修・寄稿・登壇
監修:ファクタリングの基礎・実務に関する記事多数
寄稿:中小企業向けメディア/資金調達メディア
登壇:資金繰りウェビナー

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