【初心者必見】案件確定とは？意味・流れ・リスクまで徹底解説！ファクタリング成功の秘訣

【初心者必見】「案件確定」とは？意味・流れ・リスクまで徹底解説。ファクタリングを成功させる実務ポイント

「営業担当から『案件確定しました！』と言われたけれど、何が確定して、どこまで話が進んだ状態なの？」——そんな疑問を持つ方は多いはずです。特にファクタリングや銀行・貸金業、為替の現場では、似たような言葉が多く、段階ごとの意味を取り違えると、資金繰りや社内稟議の計画にズレが生じてしまいます。本記事では、金融・ファクタリングの実務に即して「案件確定」の正しい意味、現場での使い方、進行フロー、起こりがちな誤解、リスクと対策まで、初めての方にも分かりやすく丁寧に解説します。

業界ワード（案件確定）

定義

「案件確定」とは、顧客と金融機関（またはファクター）が当該取引の主要条件に実質合意し、社内側でも進める前提（原則GO）が整った状態を指す現場用語です。典型的には、相手先・金額・期間（または期日）・手数料（またはレート）・必要書類・想定スケジュールなどの基本条件が固まり、社内稟議や承認の目処が立った、あるいは承認済みであることが多いです。なお「案件確定」は最終実行（送金・約定）と同義ではなく、通常は「成約」「契約締結」「実行（資金化・約定）」などの前段階として扱われます。ファクタリングでは、売掛先の与信確認や債権の真実性確認、通知・登記等の対抗要件の取り扱い方針まで見えている状態が「確定」の実務的目安です。

現場での使い方

「案件確定」は社内外での進捗共有に広く使われますが、文脈により強さ（最終性）が異なります。以下で言い回し・使用例・使う場面や工程・関連語を整理します。

言い回し・別称

• 案件固まった／条件固まった
• 受注確定／受注化
• GO（ゴー）出た／決裁降りた／稟議通過
• 確度100％／クローズ確
• タームシート合意／最終見積で握れた
• 内示確／内定（社内向け）

使用例（3つ）

• 「売掛先Aの1,000万円、手数料3.5％、来週火曜クロージングで顧客合意。社内稟議も通過したので案件確定です。」
• 「外為の先物予約はレート提示を受け入れてもらい、ヘッジ方針も決まった。後は契約書回付のみだから案件確定で管理します。」
• 「貸金の追加枠は代表者保証付き・金利年9.8％で承諾。条件変更合意書への押印待ちなので、案件確定（条件付）扱いにしてください。」

使う場面・工程

金融・ファクタリングの一般的な工程と「案件確定」の位置づけは次の通りです。

• リード獲得（問い合わせ・紹介）
• ヒアリング・仮審査（KYC/反社・概算見積）
• 与信調査（売掛先の信用・債権の真実性）
• 条件提示（見積・タームシート）
• 条件合意（顧客承諾）→ 案件確定（この段階で呼ぶことが多い）
• 社内稟議・決裁（先に完了していれば、より強い意味の案件確定）
• 契約準備（契約書ドラフト、押印・電子署名手配）
• 対抗要件整備（債権譲渡通知/同意、登記 等）
• クロージング（契約締結・条件成就）
• 実行（送金・約定）
• 回収・精算（ファクタリングの場合）

関連語

• 見込み・確度：見込み案件の実現可能性（例：確度70％ → 条件合意後に100％）
• タームシート：主要条件を書面化した合意文書（法的拘束は限定的なことも）
• 稟議・決裁：社内承認プロセス。通過前の案件確定は「条件付」扱いが安全
• 成約・契約締結：法的拘束を伴う契約が成立した状態
• 実行：送金・約定など、資金や取引が発生するステップ
• CP（Conditions Precedent／先行条件）：実行前に満たすべき条件

「案件確定」と「成約」「実行」はどう違う？

混同されがちですが、現場の標準的な使い分けは以下の通りです。

• 案件確定：主要条件が固まり、進める前提が整った（内外の合意がある）状態。未了のCPやドキュメントが残ることもある。
• 成約／契約締結：契約書に署名・押印が完了し、法的拘束が発生した状態。
• 実行：資金移動や約定など、取引が実体として発生した状態（ファクタリングの送金、ローンの融資実行、為替の約定など）。

したがって「案件確定＝お金が入る」ではありません。資金繰り表に反映する際は、確度やCPの有無を明記し、実行予定日とズレた場合の代替資金計画も同時に検討するのが基本です。

ファクタリングでの「案件確定」チェックリスト（担当者・実務）

案件確定と呼べる妥当性を担保するため、最低限以下を確認しましょう。

• KYC/AML・反社チェックのクリア（取引先および実質的支配者を含む）
• 対象債権の真実性確認（請求書・発注書・納品書・検収書・受領書・取引基本契約など）
• 売掛先（債務者）の与信評価と枠設定（集中度・支払履歴・遅延情報）
• 譲渡禁止特約の有無と対応方針（通知・同意、または代替スキームの可否）
• 対抗要件の整備方針（債権譲渡登記、通知/同意のスケジュール）
• ノンリコース/リコースの明確化（償還請求の有無）
• 手数料率・買取金額・送金予定日の確定
• 必要書類の洗い出しと入手状況（身分証、登記事項、印鑑証明、取引基本契約 等）
• 社内稟議のステータス（起案済/通過/条件付）
• オペレーション設計（入金先、消込、入金遅延時の連絡フロー）
• コンプライアンス・広告表示の適正（誇大表示・過度な囲い込みの禁止）

「案件確定」と呼んではいけない状況（NG例）

以下は、現場で誤って「確定」と表現しがちですが厳密には未確定です。

• 顧客の口頭承諾のみで、タームシートやメールでの承諾証跡がない
• 売掛先の与信確認や譲渡禁止特約の確認が未了（後から同意NGになるリスク）
• 社内稟議が未起案・未通過（キーマンの指摘で条件反故の恐れ）
• 必要書類の収集見込みだけがある状態（原本確認が必要な書類は特に要注意）
• 顧客が複数社で相見積を継続中（撤回される確率が高い）

このような場合は「条件合意見込み」「内示レベル」「確度80％」など、正確な表現に留めましょう。資金繰り表・KPI管理でも、案件確定と見込み案件は厳密に区別することが重要です。

交渉とドキュメント：案件確定の裏付け

「確定」と呼べる根拠は、口頭より書面・電子証跡が優先です。現場では次のような裏付けを残します。

• タームシート（主要条件、留保条件、スケジュールを明記）
• メールでの条件承諾（件名・日付・差出人/宛先が分かる形）
• 合意メモ（Meeting minutes／面談議事録の共有）
• 電子署名済の見積承諾書や申込書

メール例文（顧客→金融機関）

「貴社ご提示のファクタリング条件（対象：売掛先A、買取額1,000万円、手数料3.5％、送金予定日：4月10日）で承諾します。契約書のドラフト送付をお願いします。必要書類は本日中に提出します。」

このような文面があれば、内部的にも案件確定として扱いやすく、コンプライアンス監査での説明もクリアになります。

リスクと注意点（ファクタリング・金融共通）

• 条件反故リスク：顧客の社内事情・資金繰り変更で後退する可能性。対策はタームシートに有効期限やキャンセル時の取り扱いを明記。
• 債務者（売掛先）否認リスク：債権の存在や金額を争われると実行不能に。対策は検収書や入金実績、取引基本契約など複数資料で真実性確認。
• 社内審査否決リスク：営業の見込みと審査部の判断が乖離。事前に論点（集中度・回収条件・支払サイト）を擦り合わせる。
• 譲渡禁止特約リスク：契約で譲渡が制限されていると、通知/同意が必須。実行日から逆算し、早期にリスク洗い出し。
• コンダクトリスク：誤認誘引（確定を誇張）や過度な囲い込みは紛争の火種。表現・期待値管理を徹底。

為替・銀行・貸金業でのニュアンスの違い

「案件確定」は業界横断の慣用表現ですが、最終性は分野で微妙に異なります。

• ファクタリング：売掛先与信と債権真実性の確認が実務のキモ。通知/同意・登記の方針まで固まれば強い意味の確定。
• 銀行（法人融資）：条件交渉がまとまり、稟議の通過・コミットメントレター発行見込みで「確定」とすることが多い。実行はCP充足後。
• 貸金業（中小向け）：本審査承認・契約直前で確定扱い。ただし本人確認・収入証明などの不足が残る場合は「条件付」表現が無難。
• 為替（法人ヘッジ）：価格条件と数量・期間の合意があり、後はドキュメントだけの状態で「案件確定」。実行は「約定」。現場では「約定済み」以外は未実行と区別。

よくある質問（FAQ）

Q1. 案件確定の証跡はどこまで必要？

A. 最低限、条件の書面化（タームシートや承諾メール）が必要です。社内稟議の通過画面や決裁番号も併せて保管すると監査に耐えやすくなります。

Q2. 案件確定後に条件変更はできる？

A. 可能ですが、顧客・社内の再承認が必要です。変更履歴を残し、資金繰り予定の変更も速やかに共有しましょう。

Q3. 顧客側の都合で白紙撤回になったら？

A. 損害やコストが発生する場合は、タームシートにキャンセル条項を定めておくのが実務上の防御策です。

Q4. 案件確定＝実行日確定？

A. 別物です。実行日はCPや書類取得状況で前後します。確定の社内共有時に「実行予定日（前提条件付）」と明記しましょう。

Q5. 二社間ファクタリングでも案件確定は使う？

A. 使います。二社間の場合でも、対象債権・手数料・スケジュール・反社/KYC・オペレーション合意が揃えば「案件確定」と呼べます。

案件管理のコツ：確度の見える化と連携

案件確定の運用は、セールス・審査・オペレーションの三位一体が鍵です。以下を徹底すると失注や遅延が激減します。

• 確度ルールの統一（例：確度100％＝顧客承諾＋稟議通過＋主要CP目処）
• 条件合意の期限とタスク管理（例：通知/同意の期日、登記提出の締切）
• 異常系シナリオの準備（売掛先が同意しない、書類不足、名寄せ齟齬）
• 資金繰りボードとの連動（実行予定の反映・ズレの自動通知）
• 承諾文言のテンプレ化（顧客・社内双方の時短）

ミスを防ぐための「言い換え」ガイド

顧客・社内への説明で誤解が生じやすい言い回しは、次のように置き換えると安全です。

• 「確定です」→「主要条件に合意いただきました。実行は◯◯の完了が前提です」
• 「間違いなく来週送金」→「送金予定は来週◯曜日、通知/同意取得と稟議決裁完了が条件です」
• 「審査通ってます」→「現時点の条件で承認済です。追加書類の確認で条件が変動する可能性があります」

ケースで理解する：ファクタリングの案件確定

ケース1：BtoB受注の大量発注対応

背景：季節商材の仕入れ増で運転資金が必要。売掛先は大手、支払サイト60日。

対応：与信A、譲渡禁止特約なし。タームシートで手数料3.0％、送金予定日を発注月末＋3営業日に設定。顧客メールで承諾、社内稟議通過。→ 案件確定。登記・契約締結後に実行。

ケース2：譲渡禁止特約ありの二社間スキーム

背景：主要顧客の基本契約に譲渡禁止特約。通知/同意に時間がかかる。

対応：与信B、回収実績安定。二社間で合意しつつ、表明保証を強化。顧客承諾は得たが、社内のコンプラ審査が長引く。→ 「案件確定（条件付）」として管理し、CP充足後に「成約」へ。

社内共有テンプレ（実務で使える書き方）

件名：【案件確定】株式会社◯◯／売掛先A 1,000万円／手数料3.5％／実行予定4/10

本文要旨：

• 顧客承諾：4/3メールで受領（添付参照）
• 稟議：4/4通過（決裁番号：XXXX）
• CP：債権譲渡登記（4/8申請）、検収書原本受領（4/6予定）
• オペ：入金先◯◯銀行◯◯支店、送金は4/10午後を予定
• リスク：売掛先の支払日が前倒しの可能性（過去例）、実行日調整の余地あり

まとめ：現場で迷わない「案件確定」の基準

• 案件確定＝主要条件の実質合意＋社内承認の目処。実行とは別。
• 書面・電子証跡で裏付けを残す（タームシート、承諾メール、稟議情報）。
• ファクタリングでは「債権の真実性」「譲渡禁止対策」「対抗要件」が確定のカギ。
• 「条件付確定」を使い分け、CPと実行日のズレを前提に計画する。
• 誤解を生まない言い回しと、確度ルールの統一でトラブルを未然に防ぐ。

今日から「案件確定」の基準をチームで共有し、用語の定義を揃えるだけでも、受注率と実行率のギャップは小さくなります。ファクタリングや融資、為替取引の現場で、正しい言葉の運用が業務品質を底上げします。

この記事の監修者

平松 樹 （ひらまつ いつき）

資金調達アドバイザー／元メガバンク法人営業・審査担当

金融実務20年以上。メガバンクで法人融資・審査・再生支援を担当後、独立。中小企業の資金繰り改善に特化し、請求書買取（ファクタリング）・ABL・リスケ・補助金活用まで一気通貫で支援。建設・運送・IT・医療など500社超の案件を伴走し、累計支援額は数十億円規模。入金サイト長期化や赤字決算・債務超過局面でも、債権譲渡禁止特約や民法改正（債権法）への実務対応、与信・反社/不当条項チェック、適正手数料レンジの見立てまで具体策を提示。安全性・適法性・スピードのバランスを重視し、「即日資金化」と「継続的な資金繰り安定」の両立を設計するのが強み。

所属：ファクタリングナビ