未収金とは?意味・仕訳・回収方法までやさしく解説!企業が損をしない管理ポイント

目次

未収金の基礎知識:意味・仕訳・回収の実務と管理のコツを初心者向けに徹底解説

「未収金って売掛金と何が違うの?」「仕訳はどう書けばいい?」「回収が遅れて困っている…」――こうした疑問や不安は、経理・営業・資金繰りに関わる方なら一度は感じるものです。本記事では、ファクタリングや銀行・貸金業など金融実務にも通じる視点で、未収金の意味から現場の言い回し、仕訳、回収の流れ、管理のコツまでやさしく整理。はじめてでもスッと理解でき、今日から実務で使える内容にまとめました。

業界ワード(未収金)

読み仮名 みしゅうきん
英語表記 Outstanding receivables(状況により Other receivables / Uncollected receivables)

定義

未収金とは、本来受け取れるはずの代金・手数料・立替分などが、決められた期日までにまだ入金されていない状態、またはその金額(債権)を指す現場用語です。会計上の厳密な勘定科目でいえば、営業取引以外の債権は「未収入金」や「未収収益」、営業取引の債権は「売掛金」や「契約資産(未収売上)」と区分しますが、現場ではこれらを総称して「未収金」と呼ぶことがよくあります。医療・介護の現場では患者自己負担の未収、通信・公共料金では料金の滞納など、分野によりニュアンスが少し異なる場合があります。

なぜ未収金が重要か(キャッシュフローと信用の観点)

未収金は、売上が立っていても資金が手元に来ていないため、資金繰り(キャッシュフロー)に直結します。未収が膨らむと、支払や投資の原資が不足し、銀行借入やファクタリングに頼る頻度が増え、コスト上昇や信用低下を招きかねません。反対に、未収金の管理がしっかりしている企業は、売上の質が高く、資金効率も良いため、金融機関や投資家からの評価も安定します。

現場での使い方

言い回し・別称

現場では次のような言い換えや関連語が使われます。

  • 未収、未回収、滞留債権、延滞、滞納
  • (会計)売掛金、未収入金、未収収益、未収売上(契約資産)
  • (与信・回収)督促、消込、エージング(債権年齢)、DSO(回収日数)

使用例(3つ)

  • 「今月の未収金が増えているので、請求と入金の消込を前倒しで確認してください。」
  • 「固定資産売却代金が未収なので、期末は未収入金で計上しておいて、来月の入金時に相殺します。」
  • 「この未収金は30日超の滞留です。与信枠の見直しと一次督促のエスカレーションをお願いします。」

使う場面・工程

未収金は、以下の工程で頻出します。

  • 受注・検収:売上計上のタイミング確認(検収書・納品書)
  • 請求:請求書発行、支払条件(サイト)、振込先、相手先経理との合意
  • 入金・消込:銀行入金との照合(消込)、相殺、手形・小切手の扱い
  • 滞留管理:エージング表(30・60・90日)で遅延把握
  • 督促・回収:リマインド→電話・メール→書面→内容証明→法的対応
  • 資金化:ファクタリングやABL(売掛・在庫担保)の活用検討
  • 会計・税務:貸倒引当金、貸倒損失、時効管理

関連語の整理

  • 売掛金:商品・役務の販売に伴う営業債権
  • 未収入金:営業以外の原因で発生した債権(例:固定資産売却代金、敷金返還金)
  • 未収収益:利息や手数料など、期間経過により発生したが未収の収益
  • 未収売上(契約資産):売上は認識済みだが、請求未了の債権
  • 前受金:受け取り済みだが未提供の役務に関する負債
  • 貸倒引当金:未収金の将来の貸倒見込に備える評価勘定

未収金の仕訳(基本からファクタリングまで)

1. 発生時(営業外の債権)

固定資産売却代金が未収の例:
(借方)未収入金 ××× /(貸方)固定資産 ×××(または固定資産売却益 など)

立替金の精算が未収の例:
(借方)未収入金 ××× /(貸方)立替金 ×××

現場ではこれらも「未収金」と総称されますが、会計帳簿上は「未収入金」や「未収収益」を用いるのが原則です。

2. 発生時(営業債権)

商品・役務販売の売掛金の例:
(借方)売掛金 ××× /(貸方)売上高 ×××

売上は認識済みだが請求未了(未収売上・契約資産)の例:
(借方)契約資産(未収売上) ××× /(貸方)売上高 ×××

請求書発行時に契約資産から売掛金へ振替:
(借方)売掛金 ××× /(貸方)契約資産 ×××

3. 回収時(入金時)

銀行振込で回収:
(借方)現金預金 ××× /(貸方)売掛金(未収入金) ×××

相殺で回収(仕入先と相互債権債務を相殺):
(借方)買掛金 ××× /(貸方)売掛金 ×××

4. 貸倒引当金と貸倒処理

決算時に見積計上:
(借方)貸倒引当金繰入 ××× /(貸方)貸倒引当金 ×××

貸倒が確定した場合(見積貸倒の取り崩しを伴う):
(借方)貸倒引当金 ××× /(貸方)売掛金(未収入金) ×××
不足する部分は(借方)貸倒損失 ××× で処理

税務・会計上の扱いは基準や事実関係で異なります。具体的な判断は専門家に確認してください。

5. ファクタリング時の会計処理(概要)

非償還(ノンリコース)で実質的にリスク移転がある買取型:
(借方)現金預金 ××× /(貸方)売掛金(未収金) ×××
(借方)売上債権売却損(手数料等) ××× /(貸方)現金預金 ×××

償還(リコース)で実質は金融取引(借入)に該当する場合:
(借方)現金預金 ××× /(貸方)短期借入金 ×××
手数料は(借方)支払手数料 ××× /(貸方)現金預金 ×××

実務では契約内容により判断が分かれます。債権譲渡通知の有無(2社間・3社間)、償還請求権、保証、手形化などの条件を必ず確認しましょう。

回収方法と実務フロー(テンプレート付き)

未収金の回収はスピードと記録が命です。以下はトラブルを最小化する流れの一例です。

  • 期日前リマインド:支払期日の3〜5営業日前に、明細・金額・振込先を再通知
  • 期日当日:入金確認・消込、差額・手数料の確認(振込手数料負担の取り決め)
  • 翌営業日:未入金先へ一次連絡(メール→電話)。記録を残す
  • 7〜14日遅延:責任者宛に督促状。相手の支払プロセス(承認フロー・支払日)をヒアリング
  • 30日超の滞留:内容証明の検討、分割案や相殺案の提示、出荷・提供の一時停止判断
  • 法的手段・外部委託:弁護士相談、債権回収会社への委託、ファクタリング・ABLの活用

医療・介護・公共料金など業界特有のルールがある場合は、その請求サイクル(審査・支払スケジュール)に合わせた管理表を作成し、差戻し・査定減への対応を標準化しましょう。

ファクタリングでの「未収金」の取り扱い(金融実務の視点)

ファクタリングは、未収金(主に売掛債権)を譲渡して早期に資金化する方法です。以下の点が審査・条件に影響します。

  • 債権の種類:一般BtoBの売掛金は対象になりやすい。固定資産売却代金などの「未収入金」は対象外または条件が厳しいことが多い
  • 債務者の信用力:支払企業の規模・決算内容・支払実績・取引年数
  • 証憑の整合性:契約書、発注書、納品書・検収書、請求書、支払条件の明確さ
  • 2社間・3社間:3社間(債務者通知あり)はリスクが低く条件が有利になりやすい
  • 償還請求権:ノンリコースは手数料が相対的に高く、リコースは借入に近い性質になる
  • 登記・通知:債権譲渡登記や通知方法(メール/郵送/専用システム)

実務のコツは、「債権の証憑一式を一発で出せる状態」にしておくこと。検収の定義、キャンセル・返品条件、相殺条項の有無など、契約の揺らぎは審査に響きます。

管理指標・帳票(KPIで見える化)

  • DSO(売上債権回転日数):売掛金残高 ÷ 1日当たり売上高。短いほど資金効率が良い
  • エージング表:0–30日、31–60日、61–90日、90日超の未収残を区分管理
  • 消込率:当月請求に対する当月入金の割合。未消込の理由も分類
  • 督促ステータス:リマインド・一次督促・二次督促・法的手段の件数と回収率
  • 与信枠使用率:取引先ごとの与信限度に対する売掛残の割合

これらを週次・月次でレビューし、滞留発生の早期警戒ライン(例:31日超でアラート)を設けましょう。

よくある誤解と正しい理解

「未収金=売掛金」ではない?

現場では同義で使われがちですが、会計用語としては「売掛金(営業)」「未収入金・未収収益(非営業・期間経過)」など用途が分かれます。帳簿では区分し、管理資料では総称「未収金」で構いません。

請求書未発行でも未収になる?

売上認識の条件(履行・検収)を満たしていれば、請求前でも「契約資産(未収売上)」として計上することがあります。契約の履行状況と請求要件を照合しましょう。

期末に未収を放置しても大丈夫?

期末残高の根拠資料(契約・納品・検収・請求・入金予定)が揃っていないと、監査・税務で指摘対象になります。滞留は貸倒引当金の見積りにも影響します。

ファクタリングすれば回収問題は解決?

早期資金化には有効ですが、根本的な請求・検収・与信の設計が甘いとコスト上昇や条件悪化を招きます。まず未収発生の原因(契約・請求・検収・支払サイト)を整えることが先です。

業界別・未収のつまずきポイント

  • 医療・介護:患者自己負担の未収、請求差戻しへの対応。本人確認・支払案内・分割提案の標準化が効果的
  • 建設・設備:出来高・検収の定義ずれで請求遅延。出来高報告と検収プロセスを契約で明確化
  • IT・SaaS:請求サイクル(前月末締翌月末払いなど)と導入検収のズレ。クラウド請求・自動消込の導入が有効
  • 卸・小売(BtoB):相殺・返品・リベート調整による差額発生。取引条件表を合意・共有し、差額の争いを減らす

法務・税務の要点(日本の一般的実務)

  • 消滅時効:原則として、債権を行使できるときから5年(または一定の長期期間)などの規定があります。業態・契約により異なる場合があるため、契約書・特別法の確認が必要です
  • 時効の管理:催告・承認・中断(更新)に関する記録の保存。督促状や支払計画書は証拠性が高い
  • 債権譲渡:譲渡禁止特約の有無、譲渡通知・承諾の方法、債権譲渡登記の検討
  • 貸倒損失:税務上の要件(破産等による回収不能、形式上の貸倒、事実上の貸倒)に合致するかの確認が必要

法律・税務は状況で結論が変わります。重要事項は専門家へ相談してください。

実務で役立つチェックリスト

  • 契約:支払条件(サイト)、検収基準、相殺・返品条件、遅延損害金の定義は明確か
  • 請求:締日と発行日、送付方法、記載事項(会社名・部署名・担当者・PO番号)が相手先のルールに沿っているか
  • 証憑:発注書・納品書・検収書・受領書の整合性。電子データの保管フロー
  • 消込:銀行データ取込の自動化、名寄せルール、差額の原因分析(手数料・相殺・リベート)
  • 督促:期日前リマインド、ステップアップの期日設定、記録の統一フォーマット
  • 与信:新規取引先のスクリーニング、限度枠、更新審査の頻度
  • KPI:DSO・エージング・消込率・督促件数を月次レビュー
  • ファクタリング:2社間/3社間、償還の有無、手数料・実質年率、譲渡禁止特約の確認

用語辞典ミニガイド(未収金の周辺用語)

  • 未収金(総称):未回収の債権を指す現場語。帳簿では性質に応じて科目を使い分け
  • 売掛金:営業取引による債権
  • 未収入金:営業以外の債権(固定資産売却代金、敷金返還等)
  • 未収収益:期間経過で発生した収益の未収(利息・手数料等)
  • 契約資産(未収売上):売上認識済み・請求未了の債権
  • 貸倒引当金:将来の貸倒に備える見積計上
  • エージング:未収金を滞留日数ごとに区分する管理手法
  • DSO:売上債権の平均回収日数
  • ファクタリング:債権の譲渡による早期資金化

ケーススタディで理解する未収金の動き

ケースA:BtoBサービスの請求遅延

月末締・翌月末払い。検収書の回収が遅れ、請求が1週間ずれた。結果、入金もずれて資金繰りが圧迫。対策は「検収の自動承認ルール」「締日前の納品サマリ送付」「電子契約での検収」。

ケースB:固定資産売却代金の未収

売却先の稟議が長引き入金が月を跨いだ。期末は未収入金で計上し、翌月回収。契約時点で支払期日・遅延金・所有権移転条件を明確化しておくことが肝要。

ケースC:医療・介護の自己負担未収

窓口での案内不足や本人確認不備で未収が発生。事前の支払方法説明、分割案内、連絡先確認、督促テンプレートの整備で発生率が大きく下がる。

未収金を減らす5つの具体策

  • 契約の標準化:支払条件と検収基準を統一し、例外は承認制に
  • 早期アラート:請求予定・入金予定の見える化、期限3〜5日前の自動リマインド
  • 消込自動化:入金データ連携、名寄せルール整備、差額理由の自動分類
  • 定期レビュー:エージング・大口先の滞留を役員・営業と合同でレビュー
  • 外部手段の活用:回収委託・ファクタリング・ABLを状況に応じて選択

英語で伝えるときのコツ

未収金は文脈で表現を使い分けます。

  • 営業債権の未回収:outstanding accounts receivable
  • 非営業の雑多な債権:other receivables
  • 請求未了の売上:unbilled revenue / contract assets

「uncollected receivables」も通じますが、財務資料では上記の標準的表現を使うと誤解が減ります。

まとめ:未収金は「見える化」と「標準化」で強くなる

未収金は、売上そのものの質と資金繰りを映す鏡です。現場語としての「未収金」を、帳簿上は「売掛金」「未収入金」「未収収益」「契約資産」に丁寧に仕分け、回収プロセスを標準化。さらに、エージング・DSOなどのKPIで見える化すれば、滞留の早期発見と対策が進みます。ファクタリングは有効な選択肢ですが、契約・請求・検収の整備があってこそ効果的。今日できる小さな一歩――請求前リマインド、検収の明確化、消込の自動化――から始めてみてください。あなたの会社のキャッシュフローは、必ず強くなります。

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記事執筆者
中島康彦 (なかじまやすひこ)

■ファクタリング実務・審査の専門家/金融ライター。
大手ファクタリング会社にて2者間・3者間・医療ファクタリングの組成・審査・導入支援を5年間担当。与信設計、債権譲渡禁止特約への実務対応、反社・不当条項チェック、請求書真正性の検証、適正手数料レンジの見立てなど、現場で培った知見をもとに、安全性・適法性・スピードのバランスを取った資金化支援を行ってきました。
現在は金融ライターとして**「ファクタリングナビ」で一次情報に基づく解説・検証記事を執筆。建設・運送・医療・ITを中心に、即日資金化の実務から資金繰り改善の中長期設計まで、経営者が意思決定に使えるコンテンツを目指しています。最新の制度・ガイドライン・判例等**を参照し、誤情報の排除と透明性を重視します。

■実績・取り組み
ファクタリング実務 5年(2者間/3者間/医療)
審査・与信・契約レビュー:数百件規模の案件に関与
手数料の妥当性評価・不当条項チェックの社内指針作成に参画
業界別(建設/運送/医療/IT)での導入支援経験
一次情報重視:制度・法改正の追随/誤情報の是正

■監修・寄稿・登壇
監修:ファクタリングの基礎・実務に関する記事多数
寄稿:中小企業向けメディア/資金調達メディア
登壇:資金繰りウェビナー

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