再送依頼とは？意味・正しい使い方とトラブル回避のポイントを徹底解説

金融現場で使う「再送依頼」のすべて：意味・実務の言い回し・ミスを防ぐコツ

「再送依頼」とは何をお願いするときの言葉なのか、メールでどう書けばいいのか、二重処理にならないか——ファクタリングや銀行実務、為替・貸金業の現場で初めて使うときは迷いますよね。本記事では、金融業界の現場で頻出する「再送依頼」を、意味・使い方・注意点までやさしく解説。よくあるトラブルを避ける具体策や、実務でそのまま使える文面例も掲載しています。読み終えるころには、自信をもって正しく依頼・対応できるはずです。

業界ワード（再送依頼）

定義

再送依頼とは、すでに一度送られた書類・データ・通知（例：請求書、取引明細、入金連絡、SWIFT電文控え、本人確認書類、契約書控えなど）が「未着・破損・誤送・期限切れ・参照不可」等の理由で確認できない場合に、同一内容をもう一度送ってもらうお願いのことです。目的は「再実行」ではなく「再送信（控えの再提供）」である点が重要です。以下の用語と混同しやすいため区別して使います。

・再発行：書類そのものを新しく発行し直すこと（例：再発行の領収書）。
・再提出：内容の修正や不足補完を行い、改めて提出すること（例：不備訂正後の再提出）。
・再実行／再処理：取引や送金をもう一度行うこと。二重処理リスクが高いため、再送依頼と混ぜない。

現場での使い方

言い回し・別称

金融・ファクタリングの現場では、丁寧かつ誤解のない言い回しが好まれます。代表的な表現は次のとおりです。

• 再送のお願い／再送をお願いいたします
• 資料のご再送依頼（敬語を重ねる言い方）
• 送信エラーにつき再送願います
• 控えの再送（＝処理は不要・控えだけ欲しいという意味を明示）
• 英文では “Could you please resend …?” “Kindly resend the attached …” “Please retransmit the message (no reprocessing)” など

一部の現場では「リセンド」というカタカナが使われることもありますが、社外・監査対応を意識するなら日本語の「再送」を基本にしましょう。

使用例（メール文面3つ）

1）ファクタリング申込書類の再送をお願いする場合

件名：申込書類のご再送のお願い（処理不要／控えのみ）
本文：
株式会社〇〇 御中
いつもお世話になっております。△△ファクタリングの□□です。
先ほどお送りいただいた「請求書（得意先A様分）」の添付ファイルが開けない状態でした。
お手数ですが、PDF形式にて「請求書」「納品書」「発注書」の3点をご再送いただけますでしょうか。
処理は不要で、控えの確認のみが目的です。
送付先：このメール宛、または弊社SFTP（案件ID：12345）へのアップロードでも構いません。
急ぎで恐縮ですが、本日17:00までにご対応いただけますと助かります。

2）銀行為替・送金アドバイスの再送を依頼する場合

件名：送金アドバイス（MT103相当）の再送依頼（再実行不要）
本文：
〇〇銀行 国際部 御中
平素よりお世話になっております。株式会社△△の□□です。
下記取引の送金アドバイスが未着のため、控えの再送をお願いいたします。
・取引日：2025/11/20
・通貨／金額：USD 25,000
・送金番号／Ref：ABC123456
再実行は不要で、アドバイス控え（PDF可）の再送のみお願いいたします。

3）貸金業の入金確認資料（振込明細）の再送をお願いする場合

件名：【再送依頼】11月分ご返済の振込明細（再実行不要）
本文：
〇〇様
いつもご返済ありがとうございます。△△ローンの□□です。
11/10ご入金分の明細画像が破損しており確認ができません。
大変お手数ですが、口座名義と金額が分かる形で、明細の鮮明な画像またはPDFのご再送をお願いいたします。
なお、再度のお振込は不要です。ご不安な場合はお電話でもご案内いたします。

使う場面・工程

再送依頼は、以下の工程で頻出します。

• ファクタリング：申込時のKYC資料（本人確認書類、履歴事項全部証明書）、売掛債権書類（請求書・納品書・発注書）、債権譲渡通知の受領控え、入金エビデンスの再送
• 銀行・為替：送金電文控え（MT103等）の再送、被仕向送金の着金通知の再送、外為書類（インボイス・B/L等）の再送
• 貸金業：返済明細・振込票の再送、契約書控えの再送、収入証明の再送
• 企業間決済・EB：全銀フォーマットのデータ再送、承認済みの支払依頼書控えの再送、SFTP/EDIアップロードファイルの再送

関連語

・再提出：不備修正を伴う提出のやり直し。内容に変更が入る点が「再送」と異なる。
・再発行：番号や日付が変わる新規発行。領収書・書面で多い。
・再処理／再実行：送金や計上をもう一度動かすこと。二重処理の原因になりやすい。
・差し戻し：ワークフローで承認前に戻す行為。不備対応の前段。
・リマインド：催促全般。再送依頼に期限を添えるときに併用される。

よくある理由と原因の切り分け

再送が必要になる典型要因は以下です。原因を切り分けると、相手に伝えるべきポイントが明確になります。

• 未着：宛先間違い、BCC誤り、送信漏れ、迷惑メール振り分け
• 破損・閲覧不可：ファイル破損、パスワード不一致、暗号化形式の相違、拡張子ブロック
• 期限切れ：ダウンロードURLの有効期限超過
• 誤ファイル：別案件の資料、未承認版、ドラフト
• 品質不足：解像度不足、判読不能、ページ抜け

依頼時は「どの問題が起きたか」「どのファイル（取引ID／日付／金額）か」を特定し、希望フォーマットと期限を明記しましょう。

再送依頼の出し方チェックリスト

・目的の明示：再送は「控えの再提供」であり、再処理・再実行は不要であることを明記
・対象の特定：取引番号、日付、金額、案件ID、得意先名などを必ず添える
・理由の簡潔な説明：未着、破損、誤ファイル等。感情ではなく事実ベースで
・希望形式：PDF/JPEG、全銀フォーマット、パスワード別送、SFTP等の送付手段
・期限：何日何時まで。緊急度は「至急」「本日17:00まで」など具体的に
・宛先：代表アドレス＋担当者、CCに関係者。監査対応なら共有窓口も
・機密配慮：個人情報・口座情報は暗号化、パスワードは別送、URL期限の延長可否

受け取った側（再送を頼まれた側）の対応手順

1）依頼内容の特定：対象取引・書類・ファイル名を確認。曖昧なら先に確認質問を返す
2）重複防止の明記：メール件名・本文に「再実行不要」「控え再送のみ」を明記して返送
3）内容の完全性チェック：欠損ページ、解像度、押印有無、改ざん検知（ハッシュや署名）があれば確認
4）セキュア送付：暗号化、パスワード別送、SFTP/共有ストレージの権限確認
5）ログ保全：いつ、誰に、何を再送したかを記録（監査・紛争予防）

トラブル回避のポイント（重複実行・誤送・情報漏えいを防ぐ）

・二重処理防止：送金・計上に関する依頼では「再実行不要」「控えのみ再送」と太字や冒頭で強調（社内標準に従う）
・バージョン管理：ファイル名に「_v1」「_v2」や日付を付与。再送は「_resend」など識別しやすく
・誤送防止：To/CC/BCCの最終確認。案件名や顧客名の重複に注意
・機密対応：個人情報・口座情報・与信情報は、社内規程（犯収法・個人情報保護対応）に沿い暗号化送付
・受信側の制約確認：受信メールサイズ上限、許可拡張子、URLアクセス制限、社外共有の可否

ケーススタディ：現場での具体例

ファクタリング：審査～契約～買取～回収の各段階で再送が発生します。審査では「身分証の裏面が不鮮明」「履歴事項全部証明書の有効期限切れ」、契約では「債権譲渡通知の受領控えが未着」、買取時は「入金エビデンスのピクセル不足」など。いずれも「どの書類」「どの得意先分」「いつの分」を明示し、PDFでの再送・SFTPへの再アップロードなど具体的な手段を指示します。

銀行為替：対外送金では、実行済みの指図を再度流すと二重送金リスクに直結します。必要なのは「電文控え（アドバイス）の再送」か「ステータス照会」であることを明記し、「retransmit the advice only, no reprocessing」といった文言で誤解を防止します。受け手はRef番号で特定し、監査証跡に残します。

貸金業：顧客からの入金明細の画像再送は頻出。個人情報を含む可能性が高いため、マスキング指示（口座番号の下4桁のみ表示など）や、アップロードポータルの利用を案内すると安全です。

フォーマット別の再送のコツ

・PDF：テキスト化（OCR）より原本スキャンを優先。解像度は300dpi目安、白黒よりグレースケールが判読性高い
・画像（JPEG/PNG）：台形補正・傾き補正をして、影や指が写らないように。ファイルサイズは2～5MB程度が無難
・全銀データ／EB：文字コード（JIS/Shift_JIS/UTF-8）と区切り仕様を合わせ、送信前に簡易検証ツールでチェック
・URL共有：有効期限の延長や、閲覧権限（閲覧のみ／ダウンロード可）の設定を明記

便利なテンプレート（短文フレーズ集）

・お手数ですが、下記資料のご再送をお願いいたします（再実行は不要です）。

・前回添付が開封できませんでした。PDF形式での再送をお願いできますでしょうか。

・対象は「案件ID：12345／得意先A様／請求書No.6789」です。控えの再送のみお願いします。

・セキュア送付のため、SFTPまたは暗号化ZIP＋パスワード別送にてご対応願います。

・期限は本日17:00とさせてください。難しい場合は見込み時刻をご教示ください。

NG例と改善例

NG：とにかく送ってください（対象・目的が不明）→ 改善：請求書No.6789のPDF控えの再送をお願いします。再処理は不要です。

NG：前と同じのください（再実行の誤解）→ 改善：前回送付分の写しのみ再送ください。実行済み取引の再処理は不要です。

NG：急ぎで！（期限なし）→ 改善：本日17:00までにご対応いただけますと助かります。

FAQ：よくある質問

Q. 再送依頼と再発行依頼はどう違いますか？
A. 再送は「同一内容をもう一度送る」こと、再発行は「新しい書面を発行し直す」ことです。領収書や契約書は再発行になるケースがあります。

Q. 送金関連で「再送」を頼むと二重送金になりませんか？
A. 依頼文に「再実行不要」「アドバイス（控え）の再送のみ」と明記し、取引番号で特定してください。不明瞭な依頼は受け手側の内部統制で保留される場合があります。

Q. セキュア送付はどうお願いすればよい？
A. 暗号化ZIP＋パスワード別送、またはSFTP/専用ポータルの利用を指定。URL共有の場合は有効期限とアクセス権を明示します。

Q. 英語での依頼は？
A. “Could you please resend the payment advice (no reprocessing)?” “Kindly resend the PDF copy of invoice No.XXXX.” のように、目的と対象、再実行不要を明示します。

監査・コンプライアンス観点のポイント

・記録：再送依頼の発信者、日時、対象、理由、受領の有無をメモまたはチケットで管理
・個人情報：氏名・住所・口座等を含む場合は社内規程（個人情報保護、犯収法に基づく本人確認関連）に従って送受信
・相手先確認：誤送は重大な情報事故。相手ドメイン、共有リンクの宛先権限を再確認

まとめ：再送依頼は「目的の明確化」と「重複防止」のひと言が肝

再送依頼は、金融・ファクタリングの実務における基礎スキルです。ポイントは「対象の特定（取引ID・日付・金額）」「期限・形式の提示」「再実行不要の明記」の3点。これだけで、相手の手戻りや二重処理リスクを大幅に減らせます。テンプレートを手元に置き、セキュアな送付手段を標準化すれば、再送対応は短時間で安全に完了します。今日から自信をもって、正しく・ていねいに「再送依頼」を使いこなしましょう。

この記事の監修者

平松 樹 （ひらまつ いつき）

資金調達アドバイザー／元メガバンク法人営業・審査担当

金融実務20年以上。メガバンクで法人融資・審査・再生支援を担当後、独立。中小企業の資金繰り改善に特化し、請求書買取（ファクタリング）・ABL・リスケ・補助金活用まで一気通貫で支援。建設・運送・IT・医療など500社超の案件を伴走し、累計支援額は数十億円規模。入金サイト長期化や赤字決算・債務超過局面でも、債権譲渡禁止特約や民法改正（債権法）への実務対応、与信・反社/不当条項チェック、適正手数料レンジの見立てまで具体策を提示。安全性・適法性・スピードのバランスを重視し、「即日資金化」と「継続的な資金繰り安定」の両立を設計するのが強み。

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